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(26日、高校野球大阪大会 金光大阪4―3大阪桐蔭)

 昨夏の全国王者が追い詰められていた。大阪大会準々決勝の金光大阪戦。大阪桐蔭は1点リードの九回裏に追いつかれ、延長へ。タイブレークの十四回、先頭が送りバントに失敗して1死一、二塁となった。

 加藤への2球目、2人の走者が駆けだした。加藤は右前へ運ぶ。ヒットエンドランで1点を勝ち越した。1死一、三塁では主将の中野がスリーバントスクイズに成功。重圧が増すなかでも足を使って果敢に仕掛け、自分たちで悪い流れを変える。西谷監督が口癖のように求めてきた「粘り強い野球」だった。

 昨夏の北大阪大会、ライバルの履正社戦で1点を追う九回2死から逆転勝ち。そこから全国の頂点まで駆け上がった。追い詰められてからの粘りは大阪桐蔭の真骨頂だった。

 そんな先輩たちと比べられながら、昨秋の大阪府大会、近畿大会と優勝できず、3連覇のかかった選抜への出場も逃した。中野は負けるたびに監督から「まだまだ」と言われ、「意地を見せよう」と仲間に言ってきた。一度も優勝を経験することなく迎えた夏。監督と選手、それぞれが追求してきたことをようやく見せられた。

 直後の十四回裏、連続押し出しで追いつかれ、最後はスクイズで逆転サヨナラ負け。「自分たちの力不足です」と中野は泣いた。ただ、有友部長が保護者に向けて言った。「去年に比べて怒られてばかりなチームでしたが、ベストゲーム。本当に意地を見せてくれた」。連覇のかかる重圧と戦い抜き、大阪桐蔭の野球は貫いた。(小俣勇貴