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 吉本興業の芸人たちが、待遇改善を求めて声を上げ始めている。吉本以外でも事務所の移籍に関するトラブルも後を絶たない。タレントが入ることができる労働組合の必要性を訴える声も上がる。公正取引委員会も興味を示すタレントの働き方改革は起きるのか。

 SNS上では、吉本興業所属タレントの嘆きが日々、更新される。あるタレントは、出演料の欄に「1」と書かれた明細書をツイッターにあげ、「一回の仕事のギャラが1円」。1週間拘束された仕事のギャラが1万円だったと示唆するつぶやきもあった。

 芸能界は、事務所とタレントが専属契約を結ぶのが一般的だ。雇用関係にある「労働者」ではなく、委託契約して、個人で直接仕事を請け負う「フリーランス」にあたる。そのため、労働基準法で保護されず、最低賃金も保証されていない。

 この動きに、「労働組合を作り、団結して戦うべきです」と東京管理職ユニオンの鈴木剛執行委員長は話す。「事務所が封じ込めてきた不満の声が、SNSで発信できるようになった。芸能だけが特殊な世界という固定概念が崩れ始めている今がチャンス」という。

 権利が手厚く守られていないフリーランスでも、産業別の組合はつくることができる。ハリウッドには、所属事務所に限らず、あらゆるタレントが所属する労働組合があり、最低賃金や労働時間が保証されている。2004年のプロ野球再編問題では、労働組合日本プロ野球選手会が、ストライキを実施。渡辺恒雄・元巨人オーナーの「たかが選手」という発言を受けながらも、多くの選手が路頭に迷う事態は回避された。

 組合や協会ができれば、団体交渉権、団体行動権が認められ、ストライキができる場合もある。ただ、芸能人の権利を守る「日本エンターテイナーライツ協会」の共同代表理事佐藤大和弁護士は「声は上がり始めたが、タレント自らが立ち上がらなければ、何も変わらない。事務所を『親』とする前近代的な家族観や、仕事を奪われるという恐怖が根強くある」

 一方で、タレントたちを「事業者」ととらえ、所属事務所との「取引」に着目したのが公正取引委員会の有識者会議だ。事務所側が強い立場を利用して不当な要求をしていれば、独占禁止法が禁じる「優越的地位の乱用」にあたるおそれがある。18年2月にまとめた報告書で、そんな見解を初めて示した。

 宮迫博之さんらの会見は、「謝罪会見阻止」や「全員クビ」などと言われたとされる発言で事務所側の強い立場が浮き彫りになった。ただ、公取委が注目したのは、「契約書がない」という習慣化した両者の取引関係だった。

 契約書を交わしていなければ、どういう仕事をすればどれだけの報酬が得られるかが明確にわからない。弱い立場にあるタレントに対し、「著しく低い対価での取引を要請する」といった独禁法の違反行為を招くおそれがある。有識者会議の報告書でも「望ましくない」と指摘され、24日には公取委の山田昭典事務総長もそれに言及した。

 芸能界に対する公取委の監視強化は、ジャニーズ事務所に注意を行ったことでも表面化した。アイドルグループ「SMAP」の元メンバーで、事務所から独立した3人のテレビ出演にからんで調査を実施。出演を妨害する圧力につながりかねない行為があったと認定した。

 談合やカルテルといった不正を…

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