優勝後のお約束「歓喜の輪」、米子東が作らなかったわけ
(27日 高校野球鳥取大会決勝 米子東6―5鳥取城北)
優勝が決まる。マウンドに選手が集まって「歓喜の輪」ができる。高校野球でよく見られる光景だ。が、最後の打者をアウトにし、優勝を決めた米子東の選手たちは、歓喜の輪をつくることなく、ホームベース付近で相手と向き合って整列した。一礼し、仲間より先にライバルの鳥取城北の選手と抱き合い、握手を交わした。喜びを爆発させたのは、校歌を歌い終え、スタンドへあいさつに行くときだった。
米子東にとって、夏の甲子園は1991年以来28年ぶり、春夏連続出場は60年以来59年ぶりのこと。校歌を歌いながら涙する選手もいた。うれしくないはずがない。
なぜ、整列を優先したのか。福島康太主将(3年)の答えはシンプルだった。「普段から、相手に敬意を払えるチームでありたいと思っています」
鳥取城北とは、昨秋、今春も県大会決勝で戦い、1勝1敗。甲子園行きの切符をつかむには倒さなければいけない相手だった。
それでも福島は「相手を敬う姿勢が、野球にもつながると思う」。練習、勉強、私生活、そして相手への敬意。突き詰めてきた高い意識が、甲子園につながった。(高岡佐也子)