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(28日、高校野球福島大会 聖光学院2―0日大東北)

 一回裏、決勝戦の独特の緊張感が球場を覆っていた。日大東北のマウンドに立つエース磯上航希君(3年)は2死二、三塁のピンチを迎えた。捕手の弓田公幾君(3年)のサインにうなずいた。スライダーだ。バットの芯を外し、打ち取る狙いだった。

 ただ、投げたボールはわずかに高めに浮いた。聖光学院の吉田修也君(3年)は見逃さなかった。強振したバットの先端が捉えた鋭い打球は、三塁線を破り先制の2点適時打になった。「さすが修也だ。甘くない」。マウンド上の磯上君は、深く息を吐いた。

 小学校の時、2人は地元のいわき市の勿来少年野球教室に通っていた。磯上君が投手、吉田君が捕手で、小6の時には全国大会で8強に入ったが、中学は別々のチームに進んだ。

 そんな2人が甲子園の出場をかけた舞台で対戦した。磯上君は初回の吉田君の適時打以降は相手打線を0点に抑え、108球を投げきった。

 試合終了後の整列後、磯上君と吉田君はどちらともなく歩み寄り、抱き合った。「甲子園、絶対優勝してくれ」。「ありがとう、勝つよ」。互いの力を認め合った。そして、磯上君は「悔しいけど、打ったのが修也でよかった」と涙を浮かべ、球場を後にした。(飯島啓史)