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 令和初の三重代表は、春の選抜大会に出場し、東海大会を制した津田学園に輝いた。第101回全国高校野球選手権三重大会(朝日新聞社、県高校野球連盟主催)は28日、県営松阪球場で決勝があり、津田学園が海星を6―4で破り、2年ぶり2度目の夏の甲子園出場を決めた。一回に今大会で初めて失点し、終盤には同点に追いつかれたものの、下位打線の活躍もあり勝ち越した。本格派右腕のエース前佑囲斗(ゆいと)投手(3年)を中心に、今大会は5試合で無失策の手堅い守備が光った。全国選手権は8月3日に組み合わせ抽選会があり、6日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。

「全員野球」胸に 歓喜の涙 津田学園・前佑囲斗投手

 昨夏は味わえなかった歓喜の涙。津田学園の前佑囲斗投手(3年)は雄たけびをあげ、人さし指を天に向かって突き上げた。

 背番号11で挑んだ昨夏は、連覇を狙った三重大会初戦の四日市戦で途中登板した。だが、サヨナラ打を浴び、夢があっけなく消えた。力任せに投げた結果、はじき返される。打たれた理由は自分が一番よく分かっていた。

 昨秋は東海大会準優勝に導き、春の選抜大会では躍動感あふれるフォームから繰り出す快速球で注目された。ただ、心の中ではやはり四日市との試合が引っかかっていた。

 自分のせいで負けた。だからこそ仲間を信頼し、自分がチームの勝利に貢献しなければならないと、改めて誓った。

 今大会は仲間の堅守に支えられ、準決勝まで無失点で切り抜けた。だが、決勝では海星の主軸に連打を浴び、初回に2点を失う。大会初失点に動揺したものの、中盤以降に仲間が取り返してくれたことで、「今日もやってくれる」と切り替わった。

 夢がかなうまであと少し。八回にはギアを上げ、磨きをかけたスライダーでカウントを稼ぎ、三者連続三振でぶった切った。ただ、古豪の海星は最後まで牙をむく。九回に押し出し四球で1点を返され、2死満塁。この試合で初めて、マウンドに思わずしゃがみ込んだ。

 昨夏も相棒だった阿萬田琉希捕手(3年)がベンチに伝令を要求する。夢をたぐり寄せるために必要なものは何か。

 前投手の帽子のつばの裏には、「全員野球」と書かれている。伝令にきた伊藤侑希選手(3年)が声をかけ、全員で確認する。

 「残りひとつを全員で取りに行こう」

 前投手は呼応する。そして最後は渾身(こんしん)の直球を相手打者の外角高めに投じ、夢をたぐり寄せた。

 昨夏の苦い記憶は仲間とともにぬぐい去った。「仲間ともう一度甲子園に立ちたい」。次は春の借りを甲子園で返すつもりだ。(村井隼人)