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(28日、高校野球石川大会 星稜6―2小松大谷)

 「九回がなかったら、100点をあげられるかな」 小松大谷のエース生長(いきなが)蓮君(3年)は振り返った。

 八回まで、強打の星稜相手にわずか被安打2。持ち味の打たせて取る投球はこの日もさえていた。もともとスライダーやカーブには自信がある。以前星稜と対戦した時も、打者のタイミングをうまく外せていた。

 同点で迎えた九回表、連打と死球で2死満塁。相手の応援席はこの日一番の盛り上がりをみせた。

 「のみ込まれたらいかん」。そう思った時、仲間がタイムを取って集まってくれた。「生長、顔がかたいぞ。楽しもう」。肩の力が抜けた。

 相手打者は、小学6年の時から知っている東海林航介君(同)。ここまでは2三振を奪うなど、抑えていた。1ボール、1ストライクから4球連続ファウルで粘られた。そして7球目。「三振を狙いにいった」という直球が外角に少し浮いた。勝ち越しの中越え満塁本塁打。「一球、ボール球を投げればよかったかな。悔いが残らんと言ったらうそになる」

 昨冬から、帰宅後に毎日、腹筋や背筋などを鍛えてきた。下半身が強くなりスタミナもついた。

 ただ、前日の準決勝でも7回102球を投げていた。この日は146球。九回には「足がつりかかっていた」という。元球児の兄、稜さん(20)は「一人で最後まで辛抱強く投げとった。記録では6―2だが、いい試合。あの本塁打、一本だけ」と話した。

 大学で野球を続けたいという生長君。9回を投げ合った星稜の奥川恭伸君(同)について問うと、「負けていなかったと思う。プロになって勝ちたい」。その目はもう、将来を見ていた。(三井新)