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 涙の戦力外を乗り越え、再び1軍のマウンドへ――。プロ野球の楽天が28日、育成契約だった仙台育英高出身の由規(29、本名・佐藤由規)と支配下選手として契約に合意したと発表した。

 高校時代に豪速球で甲子園を沸かし、プロ入り後は右肩痛に悩み続けた剛腕。支配下契約に至る裏に、今年にかける由規の、石井一久ゼネラルマネジャー(GM)への訴えがあった。

 由規は球団を通じ、「支配下に上がれるかわからない状況で緊張していましたが、ホッとしたというのが今の率直な気持ち。1軍で結果を残すことが、1番の恩返し。1軍の試合に出て結果を残せるよう、一生懸命頑張ります」とコメントした。

 宮城・仙台育英高3年時、当時としては「甲子園最速」の155キロを記録して一躍注目された。2007年秋の高校生ドラフト1巡目でヤクルト入り。10年に日本選手最速(当時)の161キロを記録したが、右肩痛の影響で登板機会が減り、昨年10月に戦力外を受けた。

 功労者として引退の花道も用意されたが、「ぼろぼろになるまで野球をやりたい」と涙を流し、現役続行を希望。獲得球団を模索していた右腕に救いの手を差し伸べたのが、石井GMだった。「もう一度、野球選手としてマウンドに立たせてあげたかった。1度ぼくの元に置いて、リハビリを一から頑張らせてあげたいという思いだった」

 昨年11月、育成選手として契約。今季は2軍の7試合で、12回を1勝1セーブ、14奪三振、無失点と結果を残した。

 石井GMの目には、スライダーのキレがつき、勝負できるように映った。ただ、今季の支配下契約にはこだわっていなかった。

 「来年でもいいんじゃないか」。由規に伝えた。しかし、本人の気持ちは違った。「今年を目標に勝負してきた」。支配下契約が決まった。

 石井GMは「支配下契約した以上、来年も契約するかどうか、厳しい目で評価する」。投げることをあきらめなかった男の挑戦は、ここで終わりではない。(室田賢)

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