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(29日、高校野球大阪大会 履正社7―2金光大阪)

 2点を追う五回裏2死二塁で、金光大阪の3番佐々木慶矢(けいや)君(3年)が打席に立った。「自分が出たら4、5番に回る」。心は燃えていた。夢中でバットを振ると、中前適時打に。一塁上で拳を握った。

 履正社との決勝は、佐々木君にとって「因縁」と言える。佐々木君の兄将貴さん(24)と将太さん(20)も金光大阪でプレーした。将貴さんは2013年春の近畿大会府予選決勝で、将太さんは16年夏の大阪大会決勝で履正社と戦った。そして、どちらも敗れた。

 佐々木君は小1のころ、兄たちの背中を追って野球を始めた。公園で3人でよく野球をした。今でも将貴さんは家で打撃フォームをみてくれる。将太さんは愛知県の大学に進学したが、LINE(ライン)で相談に乗ってくれる。

 佐々木君は6月まで調子が振るわなかった。将太さんにLINEで相談すると、「チームのために打つようにしろよ」と返ってきた。自分の結果を気にして力んでいたが、「チームのため」と思うとふっと視野が広くなったような気がした。今大会に入ってどんどん調子を上げ、準決勝までの打率はチームトップの3割8分5厘だった。

 決勝の朝。「とにかく、最後までやりきれよ」。自宅で佐々木君を見送った後、将貴さんと将太さんもスタンドに駆けつけた。佐々木君は、チームの安打4本のうち、2本を打つ活躍。それでも履正社に勝つことはできなかった。

 「負けてしまったけど、力は出し切った」。試合後、佐々木君はすっきりした顔をしていた。「兄には……勝たれへんくてごめんという感じです」。取材に答える弟を、2人の兄は笑顔で見守っていた。(森岡みづほ)