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(30日、高校野球愛媛大会 宇和島東7―3松山聖陵)

 松山聖陵の先発、平安山(へんざん)陽君(2年)は一回表2死、3人目の打者を空振り三振に仕留めると、マウンド上でほえた。「よっしゃあ」。準決勝では118球を投げ、疲れが心配だったが、「思った以上の立ち上がり。いけるかなと思った」。

 試練の春を乗り越えて迎えた夏だった。選抜大会は1回戦で敗れ、その後の四国大会では右ひじを痛めてベンチを外れた。チームは高知の明徳義塾に0―10で大敗。「四国でこれだけ差をつけられたら、甲子園でも勝つのは無理だ」

 走り込みや筋トレで下半身やひじ、インナーマッスルの強化に励んだ。直球は夏までに140キロ台に乗るまでに回復した。

 その一方、主将でエースの根本大蓮(たいれん)君(3年)が肩を痛め、この夏の登板が不可能になった。「根本さんをなんとか甲子園に連れて行く」。平安山君は実質的エースとして今大会に臨んだ。力のある直球にキレのあるスライダーを織り交ぜ、準決勝までの4試合計21イニングで20奪三振と好投した。

 根本君に「自信を持って行け」と送り出された決勝のマウンド。平安山君の右腕は限界を迎えていた。「一気に疲れが出た」。四、五回はコーナーを突く投球でなんとか無失点に抑えたが、後半、力尽きた。

 試合後、涙があふれた。「疲れは言い訳にならない。全国トップレベルの投手になるため、明日から練習します」。汗と涙にぬれた顔をぬぐって、新たなスタートを切った。(照井琢見)