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 全国で3730チーム(連合チームの内訳を数えた校数は3891校)が参加した第101回の地方大会。高校野球が抱える課題を考えさせられた。

 岩手大会決勝。大船渡は高校生史上最速の163キロを投げた右腕の佐々木朗希(ろうき)(3年)を登板させず、敗れた。甲子園出場がかかる一戦で、佐々木は「投げたい気持ちはあった」と言ったが、国保(こくぼ)陽平監督は「故障の予防のため私が判断した」と語った。

 高知ではタイブレークで試合が十六回まで及び、「1人の投手が投げられるのは15イニング以内」という規則によって降板した投手がいた。秋田では1年生投手が13イニングを投げきった試合もあった。

 球児の体や将来を考えたとき、「投げすぎ」は避けるべきだ。一方で、彼らの「勝ちたい」思いや達成感とどう両立させるのか。投球数制限の議論が進むなかで、その答えを探すことも忘れてはいけない。

 酷暑だった昨夏の教訓を受け、熱中症対策が各地で進んだ。秋田大会の開会式では、あいさつを従来の4人から1人に。前例踏襲よりも、選手の負担軽減を優先した。五回終了後以外にも給水タイムを設けた大会も多かった。今夏から甲子園大会の休養日は準決勝前日に加え、決勝前日にも設けられた。連戦を招く終盤の過密日程は、地方大会でも大きな課題だ。「選手ファースト」の考え方で緩和策を探し続けたい。

 49代表が30日に出そろった。昨夏に全国を制した大阪桐蔭や今春の選抜を制した東邦(愛知)は敗れ、春夏連続出場は選抜準優勝の習志野(千葉)をはじめ、11チームだった。智弁和歌山は5季連続出場。3年生は挑める全ての大会で甲子園を経験することになった。夏の連続出場は18チームで、聖光学院(福島)は13年連続となった。

 今年、全国の硬式野球部員は18年ぶりに15万人を割り、14万3867人(5月末時点)だった。9317人の減少は調査開始以来、過去最大。野球人口の減少に直面するなか、ある球児の夏を紹介したい。三重・伊勢学園の平井颯(そう)さん(3年)。野球部のない高校で創部活動を続けてきた。「無意味では」とも悩んだ2年間。取り組みは実らなかったが、熱意は伝わった。三重大会を中継する三重テレビで高校生リポーターに採用され、他の球児と同じように高校最後の夏に全力を尽くした。

 「甲子園を目指す夢はかなわなかったけど、面白い仕事をさせてもらえた。活動は無駄じゃなかったと思えた」と平井さん。100回の歴史を経て、新しい時代へ。誰もが主役になれる高校野球であってほしい。(小俣勇貴