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 13日にスタートした全国高校野球選手権奈良大会(朝日新聞社、奈良県高校野球連盟主催)は、29日に智弁学園が38チームの頂点に立ち、閉幕した。1回戦から決勝まで、心を動かされる名勝負があった。担当記者が今夏の熱戦をまとめた。

 決勝は、智弁学園と高田商の対決。序盤から猛打でリードした智弁学園が12―5で快勝した。2本塁打を含む15安打の切れ目がない攻撃だった。智弁学園の優勝は3年ぶり19回目。

 大会を通じて、智弁学園は圧倒的な打力を示した。チーム本塁打数は12本。2011年に智弁学園、14年に天理が打ち立てた10本の大会記録を塗り替えた。坂下翔馬主将(3年)は5本塁打を放ち、こちらも大会記録を更新した。

 昨夏、一昨夏といずれも準決勝で天理に敗れた智弁学園の選手たちにとって、夏の甲子園は悲願だった。その気持ちが表れたのが、3回戦の奈良大付戦だ。四回表までに7点差をつけられながらも、諦めなかった。終盤に追い上げ、昨夏の覇者を逆転勝ちで破った。

 奈良大付の拾尾(じゅうお)昌哉主将(3年)は試合後、「智弁は選手全員が『絶対に甲子園に行く』と思っていることが伝わってきた」と話した。智弁学園の坂下主将に「絶対に甲子園に行ってくれ」と伝えたそうだ。

 準優勝の高田商は、ノーシードながら決勝まで勝ち上がった。犠打や盗塁などの小技を絡めながら、2回戦でシード校の奈良高専を、3回戦では昨夏の4強・橿原学院を下した。準々決勝の登美ケ丘戦では八回裏に2点スクイズで勝ち越し、スタンドを沸かせた。

 決勝は、智弁学園に序盤に突き放されたものの、九回に食らいつき、3点を返した。高田商の応援スタンドは、歓声と悲鳴と拍手にあふれた。大住康真主将(3年)は決勝後、「悔しいけれど、ここまで来られたということがすごくうれしい」と笑顔を見せた。

 智弁学園以外のシード校はいずれも公立の高田、奈良高専、郡山。3校は4強入りを逃した。奈良高専の扇谷拓実主将(3年)は高田商との初戦に敗れ、「夏の一勝は、春よりも厳しかった」とこぼした。

 その一方で、他の公立校が鮮烈な印象を残した大会でもあった。県立の大和広陵は準々決勝で、昨夏の準優勝校の天理と対戦。それぞれ2桁安打を放つ乱打戦に打ち勝った。

 天理の川端孝希君(3年)が最後に二ゴロに打ち取られ、一塁に伏せたまま背中を震わせていた姿が目に残る。天理の北野樹主将(3年)は「相手が何枚も上手だった」とたたえた。

 22年春に閉校予定の平城は、3学年がそろう最後の大会。福永大地主将(3年)は「甲子園に行けば平城の名が記録に刻まれる」と試合に臨んだ。初戦は、エース木谷祥之君(3年)が自らのバットでサヨナラ安打を放った。

 二階堂・吉野・山辺・高円の連合チームは、公式戦初勝利に喜んだ。全員で練習をするのは週末のみの環境で、田増渉歩(あゆむ)主将(二階堂3年)は「連合で野球ができてよかった」と胸を張った。(佐藤栞)