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 第101回全国高校野球選手権大会は6日、阪神甲子園球場で開幕する。新時代、新世紀最初の夏に、深紅の大優勝旗を手にするチームはどこか。地方大会を取材した担当記者が、49代表校の戦力を分析した。

座談会出席者

東京 竹田竜世

大阪 小俣勇貴

大阪 高岡佐也子

西部 隈部康弘

編集委員 安藤嘉浩

有力校

 記者C 混戦になりそうだけど、その中でも力があるのはどこ。

 記者A 智弁和歌山がいい。8強だった選抜よりも池田、小林の両右腕の安定感が増したし、捕手東妻(あづま)のリードも成長。中谷監督が母校に指導者として戻って3回目の夏。最初の集大成になるチームだ。

 記者E 和歌山大会は決勝での1失点だけと危なげなかった。主力の黒川、西川、東妻は5季連続の甲子園出場なんだ。伝統の強力打線は経験も豊富だね。

 記者D 東海大相模も激戦区の神奈川で盤石の勝ち上がりだった。

 記者B 今年に入って公式戦は負けなし。打線の充実ぶりは目を見張る。1番鵜沼を筆頭に破壊力は全国屈指だし、次の塁を果敢に狙う走塁も光る。「アグレッシブ・ベースボール」は健在だ。

 D すべて継投だったので投手陣もフレッシュな状態で甲子園に臨めそう。接戦を経験していないのは、気になるけど。

 C 厳しい戦いをしてきたのは?

 E 追われる苦しさを感じてきたのは、星稜だろうね。石川大会の準々決勝以降は接戦続きだった。全国屈指の右腕と評されてきた奥川も決勝では2本塁打を浴びた。ただ、リードを許さなかったのは、さすが。

 C 11本塁打の打線が苦しい展開で力を出せるか。

 D 選抜4強だった明石商も兵庫大会決勝は九回に逆転勝ち。四死球を足がかりに好機を作り、勝ち越し機では3番重宮がしっかりスクイズを決めた。勝負強さとしたたかさがある。

 A 2年生右腕の中森の出来は抜群。150キロ近い直球に加え、どの変化球でもカウントを整えられる。投手陣全体でエースの負担を減らしたいところだ。

 E 選抜準優勝の習志野も戻ってきたね。

 C 打線は春より確実性がアップ。相手の意表を突く走塁を見せる機会は増えそう。選抜は全5試合で救援だったエース飯塚が、1点差ゲームを2試合続けて完投。タフさが光る。

 B 気になるのは、履正社。4番井上は大阪大会で4本塁打だったね。

 A 打線全体の長打力もトップクラス。選抜で星稜の奥川の変化球に苦しんで3安打完封されてから、「対応力」を磨いてきた。

 D 投手力も、春は左腕清水に頼り切りだったが、この夏は2年生右腕の岩崎が急成長。総合力で勝負できるチームになった。

 E この6校が軸になるのかな。

追う9校

 B 花咲徳栄(はなさきとくはる)は攻撃力なら優勝候補にひけをとらない。激戦の埼玉でチーム打率は4割3分を超え、韮沢、井上、羽佐田の中軸は強力。橋本吏、田村ら前後にも気の抜けない打者が並ぶ。2年前の全国制覇を間近に見た経験も大きい。左腕中津原、高森らがどこまで踏ん張れるかだろう。

 D 近江を推したい。昨夏の甲子園の準々決勝で金足農(秋田)にサヨナラ2ランスクイズを決められた林―有馬のバッテリーが残る。好左腕の林は今夏、計26回を無失点。得意のチェンジアップに加え、直球にも磨きがかかる。

 A 昨夏、選手権で計13打数10安打と打った住谷らの野手陣もいいので、林をしっかり援護したいね。

 E 山梨学院、智弁学園は投手力に課題は残すが、よく打つ。4年連続出場の山梨学院は今春の選抜1回戦で24得点し、安打数は大会記録に並ぶ24。その試合で2本塁打を放った野村は通算53本塁打の強打者だ。部長として横浜を強豪に育てた小倉清一郎さんの指導も受けており、侮れない。

 A 智弁学園の長打力は驚異だよ。今夏の計59安打のうち半数近い26本が長打だ。3番坂下は5本塁打、1番塚本は3本塁打を放った。3回戦は7点差を逆転と、しぶとさもある。

 D 3年前の選抜決勝で智弁学園に敗れた高松商は夏は23年ぶり。古豪の完全復活に地元は盛り上がりそう。エース香川は強気な投げっぷりが魅力の左腕で今春選抜1回戦は完封した。

 E 九州勢はどう。

 C 選抜8強の筑陽学園は準決勝で九州国際大付、決勝で西日本短大付と実力校を破った。その2試合を完投した本格派右腕、西舘の存在が大きい。高松商と同じく、大黒柱の負担を減らせるかがカギだろうね。

 E 昨夏は金足農の「旋風」に沸いた東北からも有力なチームが出てきたね。

 B 大船渡の163キロ右腕、佐々木が全国的な注目を集めた岩手を制したのは花巻東。攻守のバランスがいい。なかでも最速150キロ右腕西舘の力強さは目を引く。技巧派左腕中森にも安定感があり、大船渡との決勝は2人の継投だった。

 A 投手起用に大きな特色があるのは仙台育英。ともに中学時代に140キロ超を計測した1年生の笹倉、伊藤を含め多彩な投手陣を小刻みにどんどんつないでいく。決勝こそ失策も出て10失点したが、準決勝までの5試合は計4失点だ。

 B 八戸学院光星は好打者武岡が調子を上げ、3番近藤は青森大会で6本塁打、20打点と打ちまくった。勢いに乗せたら怖い。

上位視野

 E 上位をうかがうチームはまだまだありそう。

 B 長く連続出場する学校の経験値は侮れない。聖光学院の13年連続は戦後最長。混戦になった今夏の福島を、計4失点できっちり勝ち上がった。

 A 作新学院も9年連続。昨夏の甲子園で、優勝した大阪桐蔭と接戦を演じたチームと力はほぼ同格。2013年に全国優勝した前橋育英は今夏、3試合を零封勝ちした守りのチームだ。打力が高いチームが多い中で、どれだけ失点を抑えられるか。

 D 春夏連続出場の津田学園は、三重大会では準決勝まで無失点。最速152キロの本格派右腕、前の調子がカギになる。

 B 東京勢も実力がある。15年に4強入りした関東一は東東京大会決勝を完封した谷と、土屋の二枚看板が安定している。

 D 国学院久我山は早稲田実、東海大菅生、創価の強豪を相次いで破り、28年ぶりの切符をつかんだ。

 A 高岡商も、近年打力の高いチームをつくっている。昨夏の甲子園で本塁打を打った井林は、今夏の富山大会決勝で満塁本塁打を放った。

 D 北信越勢では敦賀気比に底力がある。もともとある打力に加え、右腕笠島を中心に守備力が上がっている。今春の北信越大会決勝では星稜に1―3と善戦した。

 A 20回目出場の明徳義塾は、前チームほどの破壊力はないものの、ピークを甲子園に持ってこられるチームだ。

 C 沖縄尚学も楽しみ。沖縄大会決勝で全国屈指の左腕宮城大を擁する興南を倒した。仲村渠(なかんだかり)、比嘉、永山の3投手はそれぞれタイプが違う。

 E 中京学院大中京は、チーム打率4割2分6厘の打線に切れ目がない。4番で捕手の藤田は高校日本代表候補に選ばれた。

 A 鳴門も実力校。昨夏の甲子園を知るエース左腕の西野が大黒柱だ。

旋風期待

 A 令和最初の大会に、昭和最後の優勝校が15年ぶりの出場を決めたね。

 E 第70回大会を制した広島商は、甲子園球場ができた95年前の第10回大会優勝校でもある。伝統の堅守と機動力は健在だ。

 D 米子東と静岡も大正、昭和、平成、令和の4時代出場になる伝統校。春夏連続の米子東には投の森下、打の岡本と軸がいる。

 B 静岡は決勝でエースの松下を松本、石田が好救援し、接戦を制した。

 C 過去に準優勝3度の熊本工も、林、蓑茂、村上の3投手を使い分ける。

 E 「奇跡のバックホーム」からもう23年か。10年前の「終わらない夏」が懐かしい日本文理は本格派右腕の南を、全6試合2桁安打の打線が援護する。

 A 10年前の決勝で日本文理を振り切った中京大中京を、愛知大会準決勝で破ったのが誉(ほまれ)だ。大型遊撃手の沢野を中心に、全国最多188チームの激戦区をノーシードから勝ち抜いた。

 B 霞ケ浦は148キロ右腕の鈴木寛が楽しみ。4番の山本は救援左腕でもある。

 C 立命館宇治は先発に2年生5人の若いチームを3番上田が引っ張る。

 D 鶴岡東は5試合で5本塁打50得点。5番丸山が3本塁打を放った。

 E 宇部鴻城も5本塁打と打力に自信。バントも上手で打線がつながるよ。

 C 藤蔭の打線も4番塚本を軸に切れ目がない。昨年は開幕試合で敗れたが、甲子園初勝利を目指す。神村学園も下位までムラのない打線だ。2年生右腕の田中瞬は安定感がある。

勢い注目

 E 佐賀北は? 「がばい旋風」を吹かせて優勝したのは2007年だった。

 C 久保監督が、そのときの優勝投手だから注目されている。犠打を多用する堅実な野球に徹して流れを引き寄せたいところだ。

 D 宇和島東も本塁打はないけど、集中打がある。伝統の「牛鬼打線」が投手を支えた。

 A 石見智翠館(いわみちすいかん)は関山愛、河本の1、2番コンビが光っていた。

 C 海星も2番大串が振れていて軸になっている。

 E 北海道はどうだい。

 B 投手に期待したい。北照はエースの負傷で、野手と兼任だった桃枝(もものえ)が大車輪の活躍。旭川大の能登はテンポがいい。野手も6試合で1失策ともり立てた。

 A 昨年準優勝した金足農の秋田大会からは、秋田中央が45年ぶりに出場。投手中心に守って1点を取りにいくスタイルで、そこは金足農と似ているかな。

 D 岡山学芸館も守備からリズムを作る。遊撃手の知念の動きが目についた。

 C 初出場の富島は5人が昨春の選抜を経験しており、エース黒木拓もそう。42回で自責点0だった。

 B 飯山(いいやま)も初陣。岡田、常田の左右2投手がどれだけ踏ん張れるかにかかる。