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 第64回全国高校軟式野球選手権大会(日本高校野球連盟主催、朝日新聞社、毎日新聞社など後援)は31日、兵庫県明石市の明石トーカロ球場で決勝があった。東海代表の中京学院大中京(岐阜)が西中国代表の崇徳(そうとく)(広島)を5―2で破って史上最多の10度目の優勝を飾り、史上2校目の3連覇を達成した。3連覇は第4~6回大会(1959~61年)の平安(京都=現・龍谷大平安)以来。

 九回裏、中京学院大中京のエース水(みず)渉夢(あゆむ)君(3年)は最後の打者を三振に仕留め、「よっしゃ」と声を上げた。この日は11奪三振、被安打4の力投。笑顔で両腕を広げ、マウンドに駆け寄る仲間たちを迎えた。

 投手経験は1年足らず。背番号1は今春からだ。昨夏の全国大会は右翼手で出場。左腕からの正確な送球と頑張り屋な性格が平中亮太監督の目に留まり、昨秋から投手の練習を始めた。

 全体練習後、1人で約1時間、冬場は最大約3時間走り込んで下半身を鍛え、制球力を磨いた。スライダー、カーブ、ツーシーム、カットボール。練習を重ねるたびに変化球が大きく曲がるようになるのが楽しかった。丼飯を大盛り2杯ずつ食べ、入学時より身長は10センチ伸び、体重は10キロ以上増えた。

 今大会は全4試合に先発し、計28奪三振。準々決勝の無安打無得点試合を含め2完封し、決勝の七回に2失点するまで31イニング無失点だった。

 決勝の相手は、5年前の第59回大会準決勝で延長50回の激闘を演じた崇徳。実は、当時完投した松井大河さん(23)=岐阜県多治見市=から大会直前、学校で「試合で力を抜くところ、入れるところをきちんと考えて」とアドバイスを受けていた。水君は試合後、「九回は気合を入れ直して直球やスライダーをコースに決めた。疲れが出て2失点したが、松井さんのおかげで最後まで投げることができた」と笑顔をみせた。

 商事会社に勤める松井さんはニュースで3連覇を知り、「水君はすごく成長した。あのときの相手に勝って3連覇の偉業を成し遂げるなんて、運命的なものを感じる」と喜んだ。

 試合は中京学院大中京が六回、得意のたたきつける打撃で4点を先制し、逃げ切った。平中監督は試合後「全員が前を向いて頑張ってくれた」と涙で声を詰まらせた。

 崇徳は5年前の雪辱を果たせなかったが、初の決勝進出。七回に2点を返したが及ばなかった。主将の堀内優作君(3年)は「相手が一枚上手だった」。中河和也監督は「初の準優勝で崇徳の新たな歴史を塗り替えてくれた。選手を誇らしく思う」と語った。(鵜飼真、山城響、森嶋俊晴)