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 「幸せの国」と呼ばれるヒマラヤの王国ブータンから来日する留学生がアルバイト先で長時間労働に陥ることなどを防ごうと、日本で働くブータン人らが9月1日に「国際ブータン人労働組合」を結成する。労組の中心メンバーらが8月31日、松山市で記者会見し、明らかにした。

 労組を結成するのは、愛媛県などの企業に就職した元留学生7人と、現役の留学生1人、支援する日本人3人。SNSなどを通じて組合員を増やす方針で、日本での就業支援にも取り組む。外国人の留学生が中心の労組は珍しいという。

 外務省が公表しているデータによると、アジアに位置するブータンは人口約75・4万人(2018年)。面積は日本の九州に近いという。法務省の統計によると、昨年12月時点で日本に在留するブータン人は824人だった。このうち85%にあたる703人が留学生だ。

 ブータン人留学生を支援する団体によると、留学生の多くは授業料などを支払うために多額の借金を抱えて来日し、その返済のために複数のアルバイトをかけもちする。このため、長時間労働で体調を崩したり、留学生に認められているアルバイト時間の上限(原則1週間28時間)を超えたりする人もいるという。

 背景にはブータンの留学あっせん業者が「日本で留学、就職すれば大金を稼げる」として学生を募集し、それを信じた学生が金融機関から約120万円を借りて留学する実態があるという。ブータンの国家公務員の初任給は月約3万円で、高額の借金だ。

 労組の執行委員長に就く愛媛県内の農業会社で働くジャガナト・コイララさん(28)は「問題をかかえて声をあげられない人たちもいる。弱い立場の学生や働く仲間を守りたい」と話した。今後はアルバイト先との団体交渉に臨むほか、就職先を探すことを支援し、安定した収入を得られるように尽力していくという。

 中小メーカー労組でつくる産業別労働組合のJAM(本部・東京)に加盟することで、企業との団体交渉では支援を受ける。JAMは労働組合の中央組織・連合を構成する産別の一つ。この日の会見には連合の神津里季生(りきお)会長も出席し、「全面的にバックアップしていく」と話した。(滝沢卓)