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 福島県で夏の渓谷を歩いていた鳥海陽太郎さん(63)は、葉に付いたガの死骸が目にとまった。何か白いものが伸び出ている。造形美を感じてカメラに収めた作品は、昨年の「日本の自然」写真コンテスト(全日本写真連盟など主催)で入選した。

 菌類に詳しい出川洋介・筑波大准教授によると、これは接合菌類のスポロディニエラ。カビの一種だ。昆虫の体から垂れ下がるように、胞子が作られる胞子囊(のう)の柄の部分が出て、先端がヤツデの花のような形に分かれるのが特徴だ。寄生する昆虫はチョウやガの他、セミ、トンボ、バッタなどで記録がある。

 熱帯性と考えられていたが、日本でも1996年、出川さんが初めて発見した。これまでに十数件の発生情報が寄せられたという。カビの胞子は風で浮遊する。熱帯から飛んでくるのか、温暖化の進んだ国内で冬を越しているのか。「まだ判断はできていない」のだそうだ。(米山正寛)