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 茨城県つくば市はこのほど、医療介護分野のデータ分析に関する覚書を筑波大と締結した。高齢者を中心にした市民の膨大な診療データを大学側に提供した上で学術的に分析してもらい、客観的なデータに裏付けられたケアの仕組みづくりに役立てる狙いがある。

 提供の対象となるデータは、市内に住む国民健康保険の加入者や75歳以上の後期高齢者、要介護認定者のレセプト(診療報酬明細書)など。病気の治療や入院、薬の処方、介護サービスの受給内容など年間約40万件の医療・介護分野の情報を、個人を特定できないよう匿名化して5年分、筑波大に提供する。

 分析の中心となるのは、同大ヘルスサービス開発研究センター長の田宮菜奈子・医学医療系教授。医療・公衆衛生分野の研究者で、同市の高齢者福祉計画の策定などに携わった。これまでに、千葉県柏市からレセプトの提供を受け、高齢者の症例が多い大腿(だいたい)骨骨折に焦点をあて、医療・介護の分野を横断した費用コストの算出を手がけた先駆的な研究実績を持つ。

 田宮教授は「レセプトの提供で、病気で入院した高齢者の退院後のケアの効果や再入院の有無などが一連の流れで把握できるのが特長。高齢者が受ける医療と介護サービスの関係を、多角的に検証できる」と意義を語っている。(鹿野幹男)