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 「すみっコぐらし」を知っていますか。子どもだけでなく、中年世代もショップに足を運ぶ人気のキャラクターです。27歳の私も「ぺんぎん」ならぬ「ぺんぎん?」というキャラが好き。なぜ、「後ろ向きな」キャラが誕生し、ヒットしたのか。これまたちょっと「隅っこ気質」なデザイナーに聞きました。

会社は神田に

 キャラには、自分が本物のペンギンなのか自信がない緑色の存在「ぺんぎん?」や、寒がりの人見知り「しろくま」、残されたトンカツの端っこ「とんかつ」などがいます。誰も中心にいたくないので、主役という概念はありません。

 生みの親は、デザイナーのよこみぞゆりさん(31)。東京・神田のオフィス街にある「サンエックス」という会社のデザイナーです。この会社は「たれぱんだ」や「リラックマ」も抱えている強者。よこみぞさんも小学校4年生で「たれぱんだ」を見て、衝撃を受け、サンエックスを志望したといいます。

 雑談した限りでは人見知りの私よりは会話が上手なような……。本当にあのキャラたちを考え出した方なのでしょうか。

誕生秘話

 2011年11月、その年の春に入社したよこみぞさんは、新キャラーを提案する社内コンペを前に追い詰められていました。「アイデアが浮かばない」と、どうしようもなくなって昔の落書きをあさっていると、大学の授業中に書いたメモが。その隅っこに、今でいう「たぴおか」のようなキャラがいたのです。

 それを元に作った原案は、ここまで暗いキャラはこれまで存在しなかったのでは、というレベル。よこみぞさんも「背景は暗いし、かなりネガティブですね」と口にします。

無表情の方が良い

 また、「無表情の方が感情移入しやすいと思ったから無表情にしました」。キャラごとに性格を設定していった結果、物事の中心にはいないであろうキャラたちが集まりました。しろくまとねこなどの動物だけでは普通。変なものも入れたい。その思いで、食べ残されるものの中から「とんかつ」と「えびふらいのしっぽ」を採用。

 対照的に、「ざっそう」や「ほこり」はもとから隅にいがちな存在なので、屈託のない表情にしたそうです。作り出す上では「みんなが前に出なくてもいい」という思いを込めました。

「父親に通じる悲哀」

 私以外でも好きな大人はいるのでしょうか。

 東京駅の地下にある「すみっコぐらしshop東京駅店」で買い物をしていた人に聞いてみました。

 和歌山から出張中という会社員男性(39)は「8歳の長男と6歳の長女に頼まれて買いました」。子どもに買ううち、自分もはまったそうです。「とんかつが一番好き。残されたという可哀想な感じ、働いているお父さんに通じる悲哀があります」

 ファン層は今後も拡大していく気がします。(影山遼)