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 愛知代表として第101回全国高校野球選手権大会に初出場する誉(ほまれ)の選手らを長く見守り、支えてきた人たちがいる。

 36年にわたって誉の生徒たちの写真を撮り続けているのは「オクムラ写真館」の店主奥村勝彦さん(75)だ。

 写真館は、名古屋市の北側に位置する小牧市にある。学校に近いことから、1983年の尾関学園(当時)の開校以来、同校の卒業アルバム用の写真を撮ってきた。

 体育祭や文化祭などの学校行事、各部の活躍を撮る中で、愛知大会だけは毎年、野球好きの奥村さんが球場に足を運んでいる。強豪校と比べて体格が小さい部員が多く、グラウンドでのあいさつもない。勝てない時代もみてきた。「『今年は1勝してくれよ』と祈りながら撮っていました」

 2006年の矢幡(やわた)真也監督(46)の就任以降、チームは徐々に白星を重ねるようになった。「不思議なもので、強くなるにつれてあいさつや礼儀、身だしなみもしっかりしてくるんです」。10年以上前は髪を染めたり化粧をしたりした生徒もおり、教頭が毎朝校門前に立って指導していたが、野球部の変化で、ほかの生徒も変わったという。「生徒たちの成長が見られるのは、気持ちがいいですね」

 今夏の愛知大会を制した瞬間も岡崎市民球場で見届けた。初代監督や元教諭たちと喜びあった。

 3日の組み合わせ抽選会で初戦が6日の開幕試合に決まり、林山侑樹主将が選手宣誓も務めることになった。「本当に信じられないことばかり起きるねえ」と奥村さん。自身にとっても、小牧市にとっても初めての甲子園は、生徒たちが導いてくれたと感じている。6日は写真館を臨時休業し、スタッフ全員で応援に行く予定だ。(佐々木洋輔)

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 地元の和食店「角屋」の林幸久さん(53)は5年にわたり、親元を離れて寮で暮らす誉の野球部員たちに夕食を提供している。

 店は寮の近くにある。平日は午後8時半、土日は午後7時半を過ぎると練習を終えた部員たちがやってくる。寮生活を送るのは23人。奥の座敷が定位置だ。

 食べ盛りの高校生を相手に、林さんは肉料理は鶏肉を中心にし、魚や野菜をバランスよく組み合わせた献立を考える。定休日の水曜以外、毎日だ。内田力斗君(3年)は「揚げたてで出てくる唐揚げが好き。食べると元気が出ます」。

 きっかけは店の常連だった矢幡真也監督からの依頼だった。寮でインスタント食品などを食べている部員を心配し、「選手の体調管理のために協力してほしい」と頼まれたという。

 今夏の愛知大会が始まる前、矢幡監督から「今年は(甲子園に)行きますから楽しみにしていてください」と告げられた。言葉通り、チームは順調に勝ち進む。準々決勝の星城戦はカツ丼、準決勝の中京大中京戦では、ちょっと奮発して牛カツを振る舞った。決勝前夜は部員たちからリクエストがあったとんかつに加え、カツオだしを利かせたそうめんで験を担いだ。「甲子園に行けるといいなと思っていましたが、実現して驚きました」と林さん。

 初戦の6日は営業日のため地元で応援するという。「甲子園でも強豪を破って波に乗り、いい意味で奇跡を起こしてほしい」(松永佳伸、村上友里)