シリーズ:眠る
21歳で突然、透析患者に 仕事も結婚も無理なのか?
鈴木智之
【まとめて読む】患者を生きる・眠る「オーバーナイト透析」
兵庫県西宮市に住む大学職員、桜井恵一(さくらい・けいいち)さん(48)は腎臓の機能が低下し、「オーバーナイト透析」を受けています。通常の透析と違い、一晩寝ている間に、ゆっくり時間をかけて血液を浄化します。この治療を始めたのは、ある女性と患者会で出会ったことがきっかけでした。
夜8時間半 仕事終え向かう先は
桜井さんは毎週月、水、金曜日の午後8時、決まって神戸市のオフィスビル11階にあるクリニックに通う。目的は、一晩眠りながら透析を受ける「オーバーナイト透析」だ。
仕事を終え、自宅でシャワーを浴びて一息ついた後、車を運転して行く。Tシャツとジャージーに着替えて向かうのは、日中に透析を受ける患者とは別にあるオーバーナイト透析専用のスペースだ。
ベッドの脇にあるテレビをつけ、プロ野球を観戦する。大好きな阪神戦がある日は心が弾む。
「今日は勝っててよかったやん」「このままいってやー」
雑談を交わしたスタッフに、透析用の管を腕に通される。寝ているときに血が漏れるなど、緊急時に看護師らへ知らせるためのセンサーもつける。
透析は、腎臓が正常に機能しない人の血液から老廃物などを人工的に取り除くもので、国内の病院やクリニックでは1回4時間、週3回行うのが標準的だ。
それに対し、桜井さんの通う…