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 消費税約2700万円を脱税したとして、名古屋国税局が愛知県豊田市の人材派遣業、粟谷毅・元社長(58)を消費税法違反などの疑いで名古屋地検に告発したことが分かった。すでに修正申告したという。

 粟谷氏は取材に「親戚の病気治療や親戚の生活費に使うため、国に納めるべき消費税を少し借りる感覚で使ってしまった。一生かけても払いたい」と話した。

 関係者によると、粟谷氏は2017年までの3年間、人材派遣の代金とともに豊田市の派遣先企業などから消費税として受け取った約2700万円を申告せず、脱税した疑いがある。納税額は重加算税を含めて総額約6700万円に上ったという。

 粟谷氏は以前経営した人材派遣会社が経営難になり、税金を滞納。その後、親戚の名前を借りて個人で人材派遣業を営み、フィリピン人やブラジル人ら約50人を近隣の工場に派遣していた。粟谷氏によると、1千万円の売り上げがあり、100万円近い消費税を受け取った月もあるが、帳簿をつけておらず、仕入れ税額控除が認められなかったという。

増税の消費税、国税局「重点調査」

 商品の販売先から受け取り、国に納める「預かり金」でもある消費税。受け取った会社が赤字でも納税しなければならない。だが、経営が厳しい会社などが事業資金に充てるなどの不正も少なくない。

 国税庁によると、消費税に関する個人事業者への調査などは2017事務年度(17年7月~18年6月)の1年間で8万7550件で、悪質な不正があると見込んで調査したのは2万8415件。このうち、前事務年度より約540件多い2万3368件で申告漏れなどがあった。追徴税額は計約250億円だった。

 18年度に名古屋国税局が脱税容疑で告発した17件のうち、消費税は6件を占めた。10月には消費税が10%に引き上げられ、同局は引き続き消費税を重点調査するとしている。

 ある国税OBの税理士は「消費税が10%になると、預かる消費税の金額も大きくなる。事業資金などに流用すると取り返しのつかないことになり、積立金などの対策が必要だ」と警告する。(村上潤治、大野晴香)