[PR]

ボクシング元世界王者・山中慎介さん

 開会式、初めてちゃんと見ました。あっ星稜だ。明徳義塾も。甲子園でおなじみのユニホームを見ると、「おっ」と思います。僕の地元の滋賀代表は、近江。青いユニホーム、すごく目立っています。

 ここにいるのは、各地方大会のチャンピオン。聖光学院は13年連続ですか。僕は、世界王者になってから12回連続防衛して、13回目で負けました。1戦1戦が負けられない試合でした。トーナメントも負けたら終わり。強い者しか勝ち上がれません。選手が変わるなかで勝ち続けるって、本当にすごい。

 第1試合の誉(ほまれ)は、初出場で開幕試合。主将の林山君は選手宣誓までしました。しかも101回という新しい100年の歴史が始まる年に。こんなことってないですよね。

 小中学校時代に軟式野球をしていました。ボクシングでは「神の左」なんて言われていましたが、野球は右投げ右打ち。投手もしましたが、中学は主に外野手で守備が得意でした。バックスクリーンの上で、旗がすべて違う方向にはためいている。外野は守るのが難しそうです。

 誉の先発の杉本君。四死球が続いて、少し立ち上がりが苦しそう。投手って、メンタルがすごく重要ですよね。ボクシングで試合が始まるとき、対戦相手とグローブをタッチするんですが、絶対に相手と目を合わせなかった。精神的なブレをなくし、安定した試合をするためでした。杉本君は、四死球を与えてからも、どんどん内角を攻めている。精神的に強い証拠です。

 うーん、誉にとっては、なかなか厳しい試合展開になってしまいました。それでも七回裏、内野ゴロの吉田君が一塁にヘッドスライディング。こういうひたむきなプレーを見ると、肩入れしたくなっちゃいます。

 八戸学院光星は、ヒットを積み重ねて走者をため、確実に得点しています。一回の満塁本塁打で、いきなりダウンを取ったような形になりましたが、気を抜いていません。

 ボクシングでも、いきなりKOするのは難しいことです。一つ一つのパンチを効果的に当て続けることが、重要な戦略になります。それは野球にも似ているところだと思います。

 甲子園に高校野球を見に来たのは、これが2度目。あまり覚えていませんが、最初は地元の甲西が初出場で4強入りした1985年でした。2歳のときです。やっぱり野球はおもしろい。試合を見ていたら、野球がしたくなってしまいました。(構成・高岡佐也子

     ◇

 やまなか・しんすけ 1982年、滋賀県生まれ。36歳。左ストレートを武器に、世界ボクシング評議会(WBC)バンタム級王座を12回連続で防衛した。中学時代は軟式野球部。