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(6日、高校野球 八戸学院光星9―0誉)

 開幕試合の前、上空を飛ぶ朝日新聞社のヘリコプターから、始球式用のボールが投下された。旗がついたボールは、左翼から右翼方向に吹く風に流された。誉(ほまれ)の左翼手坂又は、味方の応援団が埋める三塁側アルプス席から「捕れ」と言う声が聞こえたという。「捕っていいのかなと思って、捕りました」。旗のついたボールをダイレクトでナイスキャッチ。珍しい光景だった。

 甲子園の飛球は、独特の難しさがある。本塁後方のフェンスが低いため、白いシャツを着た観客が増える夏は、バットが白球に当たる瞬間が見えづらく、1歩目が遅れがち。加えて、いつもは右翼から左翼方向へ吹く浜風への対応も求められる。

 始球式の球を好捕した坂又も、試合では苦しめられた。

 八回1死二塁。飛球が上がった瞬間「ショート」と思い、打球から目を離した。しかし遊撃手の沢野からは「レフト」と言われ、再び上空を見上げたときに、球を見失った。自分の前にぽとりと落ちる二塁打に。坂又は「空も少し曇っていて、白くて見えづらかったです」と明かした。

 試合中は終始、「緊張はしていなかった」。平常心で臨んでいても、いつもと違う環境での野球は、常に困難がつきまとう。(井上翔太)