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 名古屋市などで開催され、「表現の不自由展・その後」が中止された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」で、吉開(よしがい)菜央監督(31)の短編映画「Grand Bouquet(グラン・ブーケ)」が9日、日本国内で初めてフル上映される。昨年、東京の文化施設「NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)」で公開された際は、人を不快にさせる表現があるとして一部黒塗りにされた作品だ。吉開さんは「上映の場があることはうれしい」としている。

 作品は約15分。黒い塊と対峙(たいじ)した女性は声を出すことができず、花を吐く。その花は美しく咲き誇る。女性は塊に圧倒され、指は取れ、体は砕け、土にかえり、豊かな森の映像に続く。ICCでは体が砕けたりするシーンなどが黒塗りで上映された。

 吉開さんは、施設の運営企業への忖度(そんたく)などがあったと指摘。「運営側の方がどういう気持ちでやっているかの表れだと思う」と話す。あいちでのフル上映については「どんな風に見てもらっても構わない。まずは映画館で体験してもらって、交わせる言葉があればうれしい」と述べた。

 一方、表現の不自由展の中止については「中止は悲しい。でもこの件について人と直接意見を交わし、自分も様々な角度から考えることができている現実には希望も感じる」としている。

 吉開さんの作品は、9日夜に名古屋市のミッドランドスクエアシネマで上映され、9月15、16、23、28日に同市の愛知芸術文化センターで公開される。(千葉恵理子)