[PR]

 習志野(千葉)が14日、鶴岡東(山形)に5―9で敗れた。先発に6人の2年生が並ぶチームで、3年生は下級生の力を引き出す工夫に努めてきた。

 5点を追う四回裏1死三塁。5番の2年生、高橋雅也君がバットを振り抜くと、鋭いライナーが三塁手のグラブをはじき、待望の1点が入った。

 初回の好機には内野ゴロに倒れていたが、ベンチの3年生は口々に「いい当たり!」と励ましてくれた。「先輩たちともっと野球がしたいと思って」と高橋君。再度の好機に思い切りを失わなかった。

 春の選抜で準優勝し、夏の甲子園にも8年ぶりの出場を果たした習志野。だが昨秋に新チームが立ち上がってほどなく主将になった竹縄俊希君(3年)は、思った。「何かを変えないと、勝てない」。それまでベンチ入りしていたのは3人だけ。引退した先輩と比べて、体格も技術も見劣りする。

 後輩が萎縮していたら、勝てない――。上級生で話し合い、「部則」を見直していった。「1年生の集合時間は練習開始の1時間45分前」「下級生は先輩が帰るまで帰れない」。いつからか続いてきた暗黙のルールには、「理不尽なものもあって、学年に壁ができていた」と竹縄君は振り返る。あいさつや服装まで、必要ないと判断した決まりは、すぐにやめた。気づけば、部則はほとんどなくなっていた。

 「しっかり捕れよ!」。下級生から上級生へ、練習中に厳しい指摘の声が飛ぶようになった。一方で、苦しい練習は冗談を言い合って乗り切った。小林徹監督も「非常に融合している」と評価するチームワークが生まれた。

 グラウンドの外でも、学年の垣根はない。エースの飯塚脩人(しゅうと)君(3年)が、4番の桜井亨佑(こうすけ)君(2年)を「変人」とからかうと、「そっちの方がな」とタメ口で返す。かしこまった敬語は、めったに聞こえてこない。

 今夏の千葉大会の準決勝では、1点を追う九回裏2死走者なしの窮地から、桜井君や高橋君ら2年生3人で同点に。延長のサヨナラも2年生が決め、甲子園への切符をつかんだ。初戦の沖縄尚学(沖縄)との試合も、1点を追う九回から、2年生2人が同点打と勝ち越し打を放った。

 「春の忘れ物を取り返す」と頂点をめざした甲子園でこの日、追いかける展開が続いた。「2年生が何とかすんぞ!」。ベンチでは、2年生が声を出し続けた。だが、及ばなかった。

 応援席にあいさつに向かう高橋君は、涙が止まらなかった。もう先輩と野球ができないという思いがあふれたという。「この悔しさは一生忘れない。努力で先輩たちを超えていきたい」(小木雄太)