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 春夏続けて甲子園に出場した米子東(鳥取)は8日、強豪相手に中盤まで互角の戦いを見せた。1986年以来の勝利はならなかったものの、野球教室で縁ができた「教え子」たちも地元で熱戦を見守った。

 1点を追う六回、1死二塁で米子東の2番打者、山内陽太郎君(2年)が快音を響かせて打球は中前へ。1点を返して同点とし、ユニホームと同じ白と若草色になった一塁側アルプス席が沸いた。

 「やったー!」。時を同じくして、鳥取県米子市の市立尚徳小学校の体育館で開かれたパブリックビューイング(PV)で応援していた園児や小学生が歓声をあげた。年長組の宇賀澪(れい)君(5)は「お兄さんたちと遊んだことがある。野球が楽しそうなので、野球選手になりたい」と話した。

 米子東は2017年から月1回ほど、保育園児や学童保育の小学生が対象の野球教室を開いている。教室では、部員たちが、体に当たっても痛くないようにスポンジ製のボールとバットを使って、投げたり打ったりする動作を教えている。紙本庸由(のぶゆき)監督(38)は「最初は野球人口を増やしたいという気持ちだったが、今はむしろ選手たちが成長させていただいている。相手の立場で物事を考え、発言や行動ができるようになった」と話す。

 鳥取大会で28年ぶりの優勝を決めた後も選手らは教室を開くこども園を訪れ、子どもたちの祝福のダンスが披露された。「無邪気に遊ぶ姿や全力でバットを振る姿を見て、元気をもらえたし感謝しています」と主将の福島康太君(3年)。手作りのメダルやメッセージを受け取り、甲子園にやってきた。

 米子東にとって夏の甲子園では33年ぶりとなる得点を挙げた直後、優勝候補の智弁和歌山に底力を見せつけられ、六回以降で7失点と突き放された。救援のマウンドにも立った山内君は「勝って(子どもたちを)笑顔にしたかったけど、それができず悔しい。来年は甲子園で1勝して、野球に興味を持ってくれる子を増やしたい」と巻き返しを誓った。(矢田文、大谷秀幸)