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 脂肪が細胞の中に過剰にたまる「脂肪肝」になった肝臓を、さまざまな細胞に変化できるヒトのiPS細胞から作ることに、九州大と米ピッツバーグ大などのグループが成功した。脂肪肝は有効な治療薬がなく、新薬開発に活用できるという。7日付の米専門誌セル・メタボリズム(電子版)に論文を発表した。

 肝臓の細胞は、Sirt(サート)―1という遺伝子の働きが落ちると、脂肪がたまりやすくなることが細胞や動物の実験でわかっている。

 九州大学病院の武石一樹助教(肝臓外科)らはヒトのiPS細胞から、Sirt―1が働かないようにした肝臓の細胞を作製。さらにラットの肝臓をベースに、2~4センチ四方の「ミニ肝臓」を作ることに成功した。内部を詳しく調べると、実際の脂肪肝のように脂肪が分解されずに蓄積されていたという。

 脂肪肝は過度の飲酒や食事、運動不足などが原因とされ、肝硬変や肝臓がんに進行するケースもある。治療薬はなく、減量や適度な運動、生活習慣の改善などが必要とされている。

 新薬の開発は、細胞や動物レベルで効果を確認し、人間で安全性を確認しながら進められるため、時間や費用がかかる。武石さんは、人間の細胞でできたミニ肝臓なら実験で薬の効果を確認しやすいとして、「新薬の臨床試験の短縮化につながる」と話している。(福島慎吾)