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 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は8日、「気候変動と土地特別報告書」の政策立案者向け要約版を公表した。人間の活動によって排出される温室効果ガスのうち、23%は農業や林業、その他の土地利用に由来するとし、よりよい土地管理が気候変動対策の一つになりうる、と示唆した。李会晟(イフェソン)・IPCC議長は記者会見で「陸地は人間からの圧力にさらされている」と訴えた。

 各国政府はパリ協定で、世界平均気温の上昇を産業革命前から2度未満、努力目標として1・5度に抑えることに同意した。今回の報告書は、土地が温室効果ガスの発生源や吸収源の役割をしている点を重視。気温上昇を1・5度もしくは2度より大幅に低く抑えるには、植林などを多様に組み合わせる方法により、土地利用のあり方を変える必要があると指摘した。

 また、気候変動は、激しい雨や洪水、干ばつ、海面上昇などの増加により、土地をより劣化させうる▽農業や林業などの土地利用活動は2007年から16年で、人為起源の二酸化炭素排出の13%、メタンの44%、亜酸化窒素の82%を占めた▽砂漠化は植物の減少に伴って地球温暖化に拍車をかける▽1・5度程度の温暖化は乾燥地における水不足や原野火災、永久凍土の劣化、食糧供給の不安定化のリスクを高める▽持続可能な森林管理を含む、持続可能な土地管理は土地劣化を防ぎ、土地の生産を維持し、気候変動による土地への悪影響を覆しうる、などと指摘した。

 今回の報告書は、世界52カ国の107人の専門家がまとめた。要約版はスイス・ジュネーブで開かれていたIPCC第50回総会で承認された。次の「海洋・雪氷圏特別報告書」の要約版は、来月下旬に承認後、公表の予定。(松尾一郎)