後藤一也
糖尿病やアルツハイマー病、骨の難病や不妊など、さまざまな病気に「小胞体ストレス」という細胞内の現象が関係することがわかってきた。研究成果には日本人研究者が貢献し、ノーベル賞も期待される。どんな現象なのか。
小胞体ストレスとの関わりがわかってきた病気の一つが、国内に約6千人の患者がいる難病の骨形成不全症だ。この病気は、たんぱく質の一種コラーゲンの異常が原因で、骨がもろく折れやすくなる。
骨の細胞の中には、このたんぱく質をくみたてる「小胞体」がある。この病気では、遺伝子の変異によって、異常なたんぱく質が小胞体にたまる。
環境変化や遺伝的要因で、異常なたんぱく質が小胞体にたまることを「小胞体ストレス」という。過剰なストレスは、最終的に細胞死を引き起こす。
患者のiPS細胞を使って、この病気の治療薬の候補を探す京都大の戸口田淳也教授は「世界では、この小胞体ストレスを標的にした薬の開発が盛ん」と話す。
小胞体ストレスと関係がある病気はほかにもある。血糖値を調節するたんぱく質の一種インスリンを作る膵臓(すいぞう)の細胞で、異常なたんぱく質がたまると細胞が死に、糖尿病になる。アルツハイマー病やパーキンソン病といった神経の病気も、脳内の神経細胞に異常なたんぱく質がたまって細胞死を起こす。
たんぱく質を正しく直したり異…
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