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 日本航空が、社内の研修施設「安全啓発センター」(東京都大田区)で、パイロットの飲酒問題についてのパネル展示を始めた。個人の不祥事ではなく「安全の問題」ととらえることで、過去の大事故を忘れないための教訓として生かす狙いがある。

 センターは、520人が犠牲となった1985年8月12日の日航機墜落事故を後世に伝えるため、2006年に羽田空港近くに開かれた。墜落までの経緯の説明や破損した部品、乗客の遺書などがあり、世界各地で起きた航空機事故や、過去に日航が受けた事業改善命令の展示もある。グループ社員向けの施設だが、一般の人も見学できる。

 一連のパイロット飲酒問題は、昨年10月末に日航の副操縦士(当時)が英ロンドンの空港で、酒気を帯びた状態のまま乗務しようとして逮捕された事件が発端だった。その後、他の航空会社でもずさんな飲酒検査の実態が次々に明らかになった。飲酒検査が義務化され、日航は国土交通省から事業改善命令を受けた。今年6月に始めた新たな展示は、こうした経緯や行政処分、日航の改善策を4枚のパネルで表している。

 問題発覚の当初、日航社内では「個人の問題」ととらえる風潮があったという。だが、センターを統括する同社安全推進本部の向山正人マネジャーは「飲酒問題は安全の問題。少しでもおろそかにしてしまった過去を決して忘れずにいるために展示を始めた」と話す。(贄川俊