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 北朝鮮の朝鮮中央通信は11日、金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長が10日早朝に「新兵器」の試射を視察し、新兵器が完成したと報じた。10日に日本海に向けて発射した飛翔(ひしょう)体2発を指しているとみられ、韓国では新たな戦術地対地弾道ミサイルとの見方も出ている。北朝鮮は短距離ミサイル発射を容認するトランプ米大統領の発言を引用した外務当局者の談話も発表し、相次ぐ発射を正当化した。

 韓国軍によると、10日の飛翔体は北朝鮮東部の咸鏡南道咸興(ハムギョンナムドハムン)付近から発射され、最高高度約48キロ、最長飛行距離約400キロ、最大速度はマッハ6・1以上と推定される。

 同通信は射撃試験の結果、「新兵器が完成した」と報道。正恩氏は「既存の兵器システムとは異なる優れた戦術的特性を持った兵器システム」とし、「また一つ新しい兵器が生まれた」と評価したと報じた。移動式発射台から発射されるミサイルの写真も公開した。

 北朝鮮の飛翔体発射は7月25日以降、5回目。8月6日までに4回発射された飛翔体について、北朝鮮は「新型戦術誘導弾」や「大口径操縦放射砲」(多連装ロケット砲)としており、10日に発射したのは主に韓国を標的にした三つ目の「新兵器」とみられる。

 韓国・慶南大学の金東葉教授は今回の飛翔体について、韓国軍が発表した飛行距離や北朝鮮側が公表した画像などのデータから、ロシア製短距離弾道ミサイル「イスカンデル」をもとに開発したとみられる新型戦術誘導弾より射程は短いと分析。ただ、2発をほぼ同時に発射できるなど迎撃回避能力が高い戦術地対地弾道ミサイルとみている。

 また、同通信によると、北朝鮮外務省の米国担当局長は11日の談話で、「米国大統領も、我々の兵器開発を『小さいミサイル試験』として事実上、主権国家としての自衛権を認めている」と述べた。北朝鮮は、トランプ氏が短距離ミサイルの発射を容認する発言を続けることに意を強くし、新たな兵器の開発を進めている模様だ。

 北朝鮮は1980年代以降、短距離ミサイルとしてスカッドB(射程300キロ)やスカッドC(射程500キロ)を実戦配備。装備の現代化を目指し、移動式発射台から固体燃料を使って短時間に発射でき、迎撃回避のための低空飛行が可能なミサイル開発を急いでいるとみられる。(ソウル=鈴木拓也)