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 病気やけがが原因で、下肢をなくした人たちが毎月グラウンドに集まっている。運動する喜びが生きる力につながる――。「困難の中でも希望を持ってほしい」と義肢装具士が始めた活動は30年を超える。子どもから大人まで全国から集い、悩みや喜びを共有している。

 「腕をしっかり振ってバランスを大事にね」。義足の女性が寄り添い走る。はじめは緊張していた中学生の女の子の表情が緩んだ。「私と同じ人がこんなにいるんだ。目の前でたくさん走っている人がいる」

 8月、東京都荒川区のグラウンドであった陸上クラブの練習会。鹿児島市から参加した中学2年の北村みちるさん(14)にとって、新鮮な一日になった。足を切断してから2年ぶりの運動だった。なにより周りには義足の人はいない。

 この日、クラブには下肢を切断した人と、その家族や義肢装具士ら50人余りが参加した。そのうち10人が初参加だった。みちるさんは骨肉腫で小学6年の時に右足を切断した。小学3年から剣道を始め全国大会にも出場するほど力をつけた。だが、病気をきっかけに生活が一変する。みちるさんの口数は減り、表情にも変化がなくなった。母親の美希さん(39)はクラブの活動を知り、義足の相談を兼ねて2人で上京した。

 活動はスポーツ用義足づくりで著名な鉄道弘済会義肢装具サポートセンター研究室長の臼井二美男さん(64)の呼びかけで始まった。「体を動かす機会を」と1988年、下肢をなくした周囲の若い人に呼びかけ、体に負担の少ない水泳を始めたのがきっかけだ。91年、当時最先端だったカーボン素材のランニング用義足を米国から取り入れ、陸上のクラブを立ち上げた。臼井さんが当時担当していた20代の女性に試してもらうと、伴走者と一緒にスムーズに前へステップできた。距離にして5、6歩――。走る動きをあきらめていた女性は、涙を浮かべ歓喜した。当時、下肢を切断した人が歩き以上のことを求める風潮はあまりなかったという。臼井さんは「彼女の笑顔を見て、走る喜びを共有できる機会をつくろうと決めました」。

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