[PR]

 全国高校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」を作曲した古関裕而(ゆうじ)さんが亡くなったのは、30年前の1989年8月18日。翌日、阪神甲子園球場ではスコアボードで訃報(ふほう)が伝えられ、第3試合の開始前に大会歌を流した。約4万人の観客が口ずさみ、その死を悼んだ。

 プロ野球阪神の球団歌「六甲おろし」や早大応援歌「紺碧(こんぺき)の空」など他にも名作を残したが、「『ああ、栄冠は君に輝く』という句にひかれた。私の会心作の一つ」と生前語っていたという。曲ができたのは戦後間もない48年。古関さんは阪神甲子園球場のマウンドに立ち、敗戦から立ち上がる日本と若者に思いをはせてから作曲したと伝えられる。

 生誕(1909年8月11日)から110周年の記念日には、甲子園がある兵庫県西宮市で「古関裕而と野球の街西宮コンサート」が開催された。「君の名は」「高原列車は行く」など戦後ヒットした歌謡曲のほか、軍歌「若鷲(わかわし)の歌(予科練の歌)」も演奏された。

 「戦時中の仕事は古関先生にとって、つらい記憶だったと思われます」。古関さんのふるさと福島市から参加し、ピアノ演奏もした同市市民・文化スポーツ部の仲沼祐太さん(32)は語る。「戦後は平和を願い、新しい時代を応援する曲をたくさん残されました」

 大会歌は、その代表作でもある。水入りをはさんで残り15試合。最後まで勝ち残った2校が閉会式で、この曲に合わせて場内を一周することになる。

     ◇

 「古関裕而と野球の街西宮コンサート」の模様は、西宮市の地域FM局「さくらFM」(78・7メガヘルツ)で31日午後1時から放送される。(編集委員・安藤嘉浩