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杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

 棋士の勝負は静寂に包まれた対局室で行われます。対局中は全くの無言と思われがちですが、意外とそうでもありません。考えている最中に独り言をつぶやく棋士はかなり多くいます。

 もちろん「いやぁ、困った」など相手に聞かれたくないことは言いませんが、難しい局面でのちょっとしたぼやきや、ため息。「う~ん」「そうか」はよく聞かれます。

 自分のリズムのようなもので形勢の良しあしにあまり関係はなく、昔の「口三味線」のように相手を惑わす意図もありません。自分がはっきり有利な時は出ないのも特徴です。

 独り言が一番出やすいのは、対戦相手が席を外したとき。会心の一手や、逆に敗戦を覚悟した指し手の後、気持ちを落ち着けるために席を外す棋士は多くいます。こんなときに残された棋士が「うん、そうだよなぁ」「そんな手があるのか」とつぶやく言葉には本音がこもっています。

 ちなみに、席を外した側の棋士…

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