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 仙台育英は14日の2回戦で、鳴門(徳島)に8―5で競り勝ち、ベスト16入りを決めた。一回に先制し、一時は1点差に詰め寄られたが、3投手の継投で逃げ切った。台風10号の影響で15日の試合が中止されたため、敦賀気比(福井)との3回戦は17日の見通し。

「甲子園で本塁打」夢実現仙台育英・小濃塁選手

 一回表、仙台育英が1点を先制した直後に、4番打者の小濃(おのう)塁君(3年)が打席に立った。

 「ここで点が入れば、チームが流れに乗れる」。2球目の直球を振り抜くと、打球は右中間へ。一塁を回ったところで大歓声が聞こえた。風に乗った打球がフェンスを越えたと気づき、右手でガッツポーズをしながらダイヤモンドを駆け抜けた。「今まで打った中で一番気持ちよかった」。チームは勢いづき、3連打でさらに2点を加えた。

 「本塁打を打つようなでっかい男になれ」。両親がそう願いを込めて「塁」と名づけた。野球を始めた小学生の頃から、甲子園で本塁打を打つのが自然と夢になった。昨夏も4番打者として甲子園の土を踏んだが、3三振で無安打に終わり、初戦負け。「甲子園はレベルが違う」と痛感した。

 新チームが始動すると、自分を見つめ直した。甲子園で三振する動画を見た仲間から「ガリガリじゃん」と言われ、全国の強豪の選手と比べて自分の体がまだまだ小さいと気づいた。「だから打てないんだ」とウェートトレーニングを重ね、スイングを強くした。昨年の悔しさを忘れないために、9―0で敗れたスコアボードの写真や自分が三振する動画を何度も見た。

 宮城大会の開幕前、練習用のバットに「甲子園でホームラン」と書いたが、4番打者として満足いく活躍はできなかった。「昨夏経験させてもらった分、誰よりも打たなきゃいけない」と、大阪の宿舎に入ってからも、毎日このバットで素振りをした。

 幼い頃からの夢を2年越しでかなえ、「あの歓声は一生忘れない」。ホームランボールは、本塁打を信じてボールスタンドを用意してくれていた母恵美子さんに渡すつもりだ。

 目標は日本一。次戦へ向け、「全員で一つになって進みたい」と気を引き締めた。(窪小谷菜月)