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(14日、高校野球 仙台育英8―5鳴門)

 鳴門の宮崎龍司(3年)は試合前のベンチで、隣にいた(太田)尋生(ひろき)(3年)と目が合った。「絶対勝つぞ」。自然と両手でグータッチをしていた。

 幼稚園の年少でクラスが一緒だった時からの幼なじみだ。僕が折り紙にはまって、自由時間に一緒に紙飛行機や手裏剣を作って飛ばすうちに仲良くなった。小学校に入学して始めた野球も、「一緒にせんか」と誘った。僕が投手で尋生が捕手だったり、その逆だったり……。

 中学も一緒で、3年夏に全国選手権で8強入りした鳴門に「一緒に行きたいけん」と誘ったのも僕から。いつしか、2人で甲子園に行くのが目標になった。

 僕は1年秋から外野のレギュラー。尋生は2年春に背番号「3」をつけたけど、ずっと控え。でも、気まずさはない。学校の行き帰りも一緒。隣にいるのが当たり前だった。

 試合では打席に入る前に、一塁コーチの尋生を見るのがルーティンだ。

 この日、チーム初安打を放った二回も、適時打を打った四回も、それで気持ちが落ち着いた。特に四回の適時打の後は、満面の笑みで駆け寄ってきた。「まだいける、逆転できるぞ」と言われ、「ランコー(一塁コーチ)頼むぞ」と返した。この回に5点を取ったけど、結局、5―8で敗れた。

 「ありがとう」。試合終了直後のベンチで、尋生から声をかけられた。涙でよく見えなかったけど、手を握って、「ありがとう」と返した。

 負けたけど1勝できた。それに一緒に甲子園に立てたから悔いはない。別の大学に進むつもりだから、一緒に野球をやるのはこれで最後。でも卒業まで時間はある。それまで、家に泊まりにいったり遊んだり、思い出をいっぱいつくろう。(大坂尚子)