【動画】津波からの「避難階段」 その入り口はどこ?=大山稜撮影
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 日向灘に面した宮崎市の青島地区では、津波の時、素早く高台へ逃げられるように「避難階段」が設けられている。現地を訪れてみると、ある避難階段の上り口は、意外な場所から始まっていた――。

 宮崎有数の観光地で、サーフィンの名所としても知られる青島。海岸沿いの低い土地のため、南海トラフ地震や日向灘地震による津波の被害が心配される。

 宮崎市や地元自治会が主催する津波発生を想定した避難訓練では、海岸から約500メートル内陸を走る高台の国道220号をめがけて避難する。海沿いから見上げると、高台にある駐車場「青島パーキング」へと続く避難階段が目に入った。

 「あの階段を上れば……」。近づいて階段の入り口を探してみた。しかし、どこにも見当たらない。経路を示す案内板もない。一体どこから避難すれば高台にたどり着けるのか?

 車で高台に移動し、国道に隣接する青島パーキング側から階段を下りてみることにした。160段(高さ23・7メートル)を約1分半で下りきると、茂みに囲まれた道に出た。草を手でかき分けながら進むと、目の前にJR日南線の線路が現れた。その先には遮断機のない踏切。そして、踏切の先は一般住宅の私有地だった。

 階段の入り口は、民家の裏庭から始まっていた。海側からだと家の裏にあたるため、見えなかったのだ。

 宮崎市や国土交通省宮崎河川国道事務所によると、青島地区の避難階段は2011年に起きた東日本大震災の教訓から「住民が車を使わなくても避難できるように」と整備。12年に国が約4千万円をかけ、3カ所に設けた。青島パーキングにつながる避難階段はその一つだ。

 他の二つの避難階段の周辺には避難経路を示す案内板があったが、青島パーキングに続く避難階段には元々、案内板は設置していなかった。

 その理由について、市の担当者は「私有地ということに配慮して案内板は立てていない。海との間に線路や住宅街が立地している高台の構造上、民家を通る経路になるのはやむを得ない」と説明した。避難時に利用することは住人から了承を得ているといい、「地元住民には、避難訓練などでどこが入り口なのか周知徹底しています」。(大山稜)