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 第101回全国高校野球選手権大会第10日の16日、中京学院大中京(岐阜)が9―4で東海大相模(神奈川)に逆転勝利した。2点を追う七回に、8安打の猛攻で計7点を挙げて試合を決めた。爆発的な攻撃力を支えているのは、アナログなトレーニング方法だ。

 「1、2、3、4、5、6、7、8、9、10」

 4日、兵庫県西宮市の鳴尾浜臨海野球場。中京学院大中京の選手たちが、バッティングケージ横で野太い声をあげて腕立て伏せをしていた。

 チームは普段から打撃練習の合間に、腕立て伏せやダンベルで筋肉を鍛える。30回1セットを10セットこなす。「体に負荷をかけ、鍛えた状態の筋肉をそのまま打撃に生かすことが狙いです」と話すのは、橋本哲也監督(55)だ。

 橋本監督は社会人野球の監督時代、最新技術を用いたトレーニングメニューを組んでいたという。だが高校野球は、教育の一環と考えて「プロセス」を重視。「自分の体重を体で支えることで、体重や筋力の成長がより身にしみて感じられる」とし、打球速度の測定器などは使わずアナログを貫く。

 冬場はほぼ毎日、山間部にあるグラウンドを利用して、50メートル以上ある急な坂道を選手同士がおんぶ、だっこ、肩車をして登る。体作りを目的とした「やりがい」と呼ばれるトレーニングだ。高畠和希君(3年)は「腕立て伏せなど古くさい気もするけど、スイングが速くなったり、打球の質が変わったりした」と成果を実感する。

 中京学院大中京は、岐阜大会では準決勝までの5試合を無失点でコールド勝ち。切れ目のない打線で、全6試合のうち5試合で2ケタ安打を記録。甲子園でも、初戦の北照(南北海道)との試合で、相手を上回る9安打を放った。

 北照戦で1打点をあげた井上槙士君(同)は昨秋から体重が15キロ増えたという。「30キロのダンベルは最初は重くて全然持ち上げられなかった。『やりがい』も冬場は毎日。とにかくしんどいが、合間にバッティング練習をすると、打球の飛距離が伸びていた」

 この日の東海大相模戦では、5打数3安打と活躍。試合後、「筋トレの成果が出たと思う。打撃では芯でとらえて強くたたくことができた。守備でも深い打球でも踏ん張ることができた」と満足げな表情を見せた。(松山紫乃)