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 2点をリードして迎えた七回、東海大相模が甲子園の魔物につかまった。打者一巡の猛攻で7点を失い、4―9で中京学院大中京(岐阜)に逆転負けを喫した。「日本一」を掲げていた東海大相模は、第101回全国高校野球選手権大会10日目の16日、3回戦で敗退し、甲子園を去った。

「先輩のため」先発全力 1年生の石田投手

 「落ち着け、落ち着け」。東海大相模の先発、石田隼都(はやと)選手(1年)は、自分に言い聞かせた。同点で迎えた四回表、安打と失策で無死二、三塁のピンチに陥っていた。

 4球目、打者が引っかけた当たりは石田選手の正面へ。すかさず三塁に送球し、走者を挟んで捕手の井上恵輔選手(3年)が三塁走者をタッチアウトに。その間に二塁を狙った打者走者も、井上選手が二塁に送球してアウトにし、一気に2死。先輩の落ち着いたプレーに助けられた。

 ここでもう一度ギアを入れ直す。「高めに浮いたらやられる」。直球とスライダーを慎重に投げ込むと、低めに沈んだ7球目のチェンジアップに相手打者のバットが空を切った。自然に出てしまうおたけびを、甲子園でも上げた。

 石田選手は、ベンチ入り18人のうち、唯一の1年生。中学時代から国際試合など大舞台を経験してきたが、甲子園のマウンドでは「いつも助けられている先輩たちのために抑えたい」という気持ちが先行した。井上選手から、「思いっきり腕を振れよ」と声を掛けられた。投手の諸隈惟大(いっと)選手(2年)も「3年生やオレが後ろにいるから、楽に投げてこいよ」と励ましてくれた。

 この日は四回以外にも、二回には無死満塁、五回にも走者を背負ったが、先輩たちの好守に加え、ピンチで三振を奪い、五回1失点と試合を作った。

 「中学のときは『自分』でいっぱいだったが、相模に入って、チームが勝つために自分がいるんだと考え方が変わった」。1年生という甘えを自分に許さず、任されたイニングを投げ抜く大切さを改めて学んだ甲子園。「頼られるような投手になって、ここに帰ってくる」。1年生の背中は甲子園を経て、一回り成長した。(岩本修弥、木下こゆる)