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 8強には届かなかった。台風一過の阪神甲子園球場で16日、岡山学芸館は作新学院(栃木)に0―18で敗れた。序盤から失点を重ねる展開にも、守りに入ることなく「笑顔の野球」を貫いた。晴れ晴れとした表情で甲子園を去る選手たちを、大きな拍手が包んだ。

快進撃支えた10年の絆 中泰輝選手と好田凌主将

 初回、先頭打者に二塁打を打たれ、いきなりピンチを迎えた岡山学芸館。中堅手の中泰輝(たいよう)君(3年)と右翼手の好田凌君(同)がアイコンタクトをとり、腰の下で右手の指を振り合う。

 「絶対に二塁走者の生還を許さない」という、ここぞの時に使うサイン。内野手の間を抜けてくる打球や、内野と外野の間に落ちる打球が来れば、「思い切り前に突っ込むからカバーを頼む」という意思確認だ。快進撃につながった数々の堅守は、こんなやりとりが支えていた。

 背番号「8」の中君と「9」の好田君。神戸市で育った2人は、小学2年からずっとチームメートだ。しかも、そのほとんどが中堅手と右翼手の関係。「一緒に甲子園に行こう」を合言葉に、雰囲気にひかれたという岡山学芸館へ。「背番号『8』と『9』は(自分たちが)守り抜く」と約束し、高め合ってきた。

 「打球が飛んだ瞬間、どちらが捕る打球か分かる」と言う2人。一緒に過ごした長い時間の中で、どちらが言い出すわけでなく、サインは自然と生まれた。外野手同士がカバーをするのは基本だが、好田君は「お守りみたいなもので心強い」と話す。

 寮で夕食をとる時は、いつも隣同士。普段のコミュニケーションが野球での密な連係につながる、と好田君は信じる。岡山大会を勝ち抜き、甲子園の目標を達成した後、2人は「やったったな」と喜び合った。持ち味を生かし、甲子園でも勝ち上がろうと次の目標を定めた。

 8強をかけたこの日の一戦は、強豪の実力を見せつけられる結果となった。大学で野球を続ける予定の2人。「またいつか、凌と外野を組みたい」と中君。好田君は「泰輝と守れて楽しかった」と、この10年を振り返った。(華野優気)