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 静岡県牧之原市の杉本基久雄市長は16日、市議会全員協議会で、同市が進めてきたカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の誘致計画を断念すると発表した。国の第1期認定(国内3カ所)に間に合わせるため、申請権者の県に対し、市と連携した調査研究や基本構想の策定を求めてきたが、県に推進姿勢が見られなかったという。第2期以降も「まず県が誘致推進を決めなければ、市は動かない」とし、計画は事実上の白紙撤回となった。

 市は今年1月、地元の経済団体の提案を受け、同市大寄地区の原野約163ヘクタールに、カジノのほか国際会議場やホテルなどを建設する計画を「前向きに進める」と発表。だが、住民説明会でIR事業者側から出された経済効果や誘致客数が「過大」との指摘があり、市は住民合意を得る前提として、第三者機関による基礎調査を検討してきた。調査費を9月補正予算に計上するにあたり、「2023年秋をめどとする第1期の申請に間に合うか」を県に確認したところ、県の手続きに少なくとも3年以上を要し、間に合わないことがはっきりしたという。

 県総合政策課は「まず市町が住民の合意を得てから、県として適否を判断し、基本構想の策定に入る手順は変わらない」と説明。現段階で県が誘致を主導する可能性を否定した。

 杉本市長は議会後の取材に「申請期限に間に合わせようとし、進め方が拙速だった。市民に精神的苦労をかけた」と認めた。IR誘致に反対の立場から学習会を開いてきた同市大寄の横山奈緒美さん(60)は「断念を喜んでいる。今後も市民がカジノについて正しく判断できるように、学習会を継続していきたい」と話した。(阿久沢悦子)