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プロフィギュアスケーター・織田信成さん

 甲子園で高校野球を見るのは初めてです。星稜と智弁和歌山の試合を見に来たお客さんは、4万5千人ですか。本当にすごい。

 僕は高校2、3年の時、総体を2連覇したんです。でも、見ているのはほとんど関係者だけという会場でした。一つのプレーにこれだけのお客さんが沸くなかで高校生ができるのは、うらやましいです。だけど、プレッシャーもあるでしょうね。そのなかで、星稜の奥川君はすごいピッチングをしている。154キロ? 速すぎて、びっくりします。

 甲子園はテレビでよく見ています。青春の一ページを見させてもらっている気がして。ほら、内野ゴロで絶対アウトになると分かっていても一塁ヘッドスライディング。アウトって分かっていても、全力でやるでしょ。

 今、5歳から20歳くらいまでの選手にスケートを教えています。失敗したら氷を蹴る子もいるし、ダラダラとやる気をなくしてしまう子もいます。だから、よく言うんです。最後まで諦めたらダメ。こけてもすぐに立って、やってきたことを最後まで出し切って滑りなさい、って。

 僕の高校時代は、トリプルアクセル(3回転半)ジャンプとの戦いでした。なかなか跳べなくて、映像を見て研究したり、コーチである母親と相談したり。そして、高3の世界ジュニア選手権でやっと成功しました。めっちゃうれしくて。そういう経験をしてきたから、頑張ればできるようになるって思っています。

 甲子園には全力の姿が詰まっていますね。奥川君、延長に入っても150キロ超えの直球。智弁和歌山の池田君も負けていない。もう、言葉が出ないですね。球場全体が投手だけじゃなくて、全員を応援している気がします。良いプレーには拍手。どっちも応援したくなります。

 サヨナラ本塁打。マウンドで、打たれた池田君が崩れている。僕、グッときてる、ウルウルする。泣きますね、これは。奥川君と投げ合って、最後まで頑張って。感動ですよね……。

 試合後、両チームはお客さんにあいさつに行くんですね。一緒に甲子園で戦った仲間は一生の仲間。高校時代に戻れるなら、スケート以外だったら、チームスポーツもやってみたい。野球、いいですね。そして、甲子園に来たいです。

 球児たちのキラキラ感は全力でやったからこそ、ですね。勝っても、負けても、人生を強く生きていくんだろうな。(構成・大西史恭

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 おだ・のぶなり 1987年、大阪府出身。32歳。2008年全日本選手権優勝、10年バンクーバー五輪7位。関西大学体育会アイススケート部監督で、キャスター、タレントとしても活躍中。