[PR]

 第11日の17日、星稜は智弁和歌山(和歌山)と対戦。今大会初の延長タイブレークにもつれ込んだ激戦を、サヨナラ本塁打で制し、24年ぶりの8強入りを果たした。準々決勝は18日(午後1時開始予定)で、仙台育英(宮城)とぶつかる。

昨夏の雪辱 成長の一打 星稜・福本陽生選手

 延長、そしてタイブレーク。星稜の選手たちは、苦い記憶とも戦っていた。

 昨夏の甲子園、済美(愛媛)との2回戦。延長十三回、タイブレークへ突入。2点リードしたが、その裏、サヨナラ満塁本塁弾を打たれ、敗戦を喫した。

 「嫌な記憶が一瞬頭をよぎった。タイブレークに踏み込みたくない気持ちは正直あった」と星稜の6番、福本陽生(はるお)君(3年)。

 だが、その敗戦から1年、チームは着実に成長した。石川大会も準々決勝以降、終盤までもつれる試合続き。「優勝候補」とマークされた甲子園でも1回戦は1点差の接戦。じりじりした展開でも焦らず、勝つ経験を積み上げてきた。

 エースもさらに強くなった。昨夏の済美戦で足がけいれんし、途中降板した奥川恭伸君(同)。この日も延長で足がつりそうになったが、マウンドを譲らず、捕手の山瀬慎之助主将(同)、林和成監督が「この夏一番」と口をそろえる投球を見せた。

 そして延長十四回裏。2回戦で会心の打撃を取り戻していた、福本君に打席が回ってきた。「最少失点で切り抜ける奥川のためにも打たないと」

 この日も第1、2打席で安打を放っていた。いずれも直球をはね返していたが、「直球を狙いながらでも、変化球を打てる」。そう確信していた。

 高めに浮いたスライダーを、振り抜いた。

 芯でとらえたので「手応えは軽かった」。打球は左中間スタンドへ。チームメートが取り囲む本塁を踏むと、大歓声が耳に入った。

 済美戦で本塁打を打たれ、悔しい思いをした寺沢孝多君(同)もベンチで喜びを爆発させた。「打ってくれてありがとう。去年やられたことを、今年はやってみせた」

 「どんなに苦しくても楽しもうと声をかけ合った。自分たちの力を信じていた」と福本君。24年ぶりの8強という結果以上に、大きな手応えをつかんだ1勝だった。(岡純太郎)