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 仙台育英は17日の3回戦で、敦賀気比(福井)に4―3で逆転勝ちし、2年ぶりの8強入りを決めた。3点を先制されたが、中盤に試合をひっくり返した。準々決勝の相手は星稜(石川)。18日午後1時からの第3試合で対戦する。

ムードメーカー、勢い呼ぶ 中里光貴君

 3点を追う五回裏2死三塁、仙台育英の中里光貴君(3年)は「1点とり返すぞ」と、内角の直球に狙いを絞った。3球目をたたくと打球は右中間へ。反撃の口火を切る適時二塁打となり、両手でガッツポーズをして笑顔を見せた。

 「あいつのおかげでチームが明るくなる」(千葉蓮(れん)主将)というチーム一のムードメーカー。調子に乗り過ぎて須江航監督に怒られ、反省したこともあったけれど、仲間はみんな「あいつが一番練習している」と知っている。

 昨年秋、足の早さとスローイングの素質を監督に見込まれ、外野手から内野手に転向した。内野はほぼ未経験だし、そもそも守備は苦手だ。でも頑張っているのを人に見られるのは、なんだか恥ずかしい。だから、誰よりも朝早く来て特訓を始めた。時には後輩にノックを打ってもらい、毎日最低300球。「誰よりもノックを受けたって言える」

 それでも、春の東北大会では公式戦で初めてエラーをした。併殺を狙ってボールを落とし、「ちょっとだけ守備が怖くなった」。不安を拭うには練習しかない。翌日も朝からノックを受けた。

 中里君の一打で初得点を挙げたチームは、勢いそのままに中盤で逆転した。だが相手打線も粘る。九回表1死三塁、1点差でマウンドに笹倉世凪(せな)君(1年)が登った。一発逆転の場面に球場が沸く中、緊張をほぐしたのは、やはり中里君だった。二塁手として「1点取られても同点だから大丈夫」と笹倉君に声をかけ、内野にも「信じてみんなでやろう」と呼びかけた。最後は左飛と三振に抑え、準々決勝進出を決めた。

 甲子園で計8安打、無失策と攻守でチームを引っ張り、準々決勝に臨む。相手の星稜には、小学生の頃のチームメートがいる。「甲子園じゃないと戦えない相手。勝っても負けてもやりきりたい」(窪小谷菜月)