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 「最近太って、下腹部が出てきちゃった」という女性の皆さん、婦人科検診で卵巣を調べてもらっているでしょうか。

 卵巣は「物言わぬ臓器」と言われています。卵巣がんになると、卵巣が腫れて大きくなったり、おなかに水がたまったりしますが、初期の段階ではなかなか症状が出ないため、病院を受診しないまま病状が進んでしまうことが多いのです。今回は卵巣がんの検診と治療についてお話しします。

 卵巣がんは卵巣という臓器に発生するがんです。卵巣は子宮の両側に位置する、女性ホルモンを分泌する臓器で、正常ではうずらの卵くらいの大きさです。

 がん(腫瘍(しゅよう))が大きくなると、下腹部が出てきたり、おなかが張って苦しくなったりします。また、仰向けになっておなかを触るとボールのようなものに触れることもあります。

 40~60代に発生することが多いがんですが、10~20代の若い方に発生しやすいタイプもあるため、若い方でも急激におなかが出てきた場合には注意が必要です。また、過去に子宮を取る手術をしていても、卵巣が残っている場合には卵巣がんになる可能性があります。

 がんがあるかどうか調べる卵巣がん検診は、子宮がん検診と同時に行うことができます。具体的には、超音波検査の装置(プローベ)を腟(ちつ)内に挿入して卵巣が腫れていないかどうか確認します。検査に用いる装置は直径1・5センチくらいの太さで、患者さんごとに清潔なカバーを先端に装着します。

 検査はだいたい1分以内、長くても約2~3分で済みます。性交渉歴のある人であればほとんど痛みは感じません。痛みが強い場合にはゼリーを使用して肛門(こうもん)側から挿入すると意外と楽に検査できます。希望する人は診察前にお伝え下さい。

 卵巣がん検診を受けていても、がんの早期発見が可能とは言い切れません。というのも卵巣がんの中にはかなり急激に病状が進行するタイプがあるからです。とは言え、検診で早期発見ができればより良い治療につなげることが可能です。

 特に、過去に子宮内膜症を指摘されたことがある方には卵巣がん検診が有効である可能性があります。日本人では子宮内膜症から発生する卵巣がんが比較的多いためです。

 また、家族に卵巣がんの方がいる場合には個別に注意が必要な場合があります。遺伝性の卵巣がんについては次回取り上げる予定です。

 卵巣がんの治療は、手術と抗がん剤を用いた化学療法が中心となります。初期のがんであれば子宮、卵巣、骨盤や腹部のリンパ節、大網(胃や腸から下がっている膜のようなもの)を摘出する根治手術を行った後、必要に応じて化学療法を行います。

 進行がんの場合、初回の手術ではがんを取り切ることが既に困難となっているため、最低限の手術に留めて化学療法を先行させます。全身状態などから手術が困難な場合には化学療法から治療を開始することもあります。

 また、卵巣がんは顕微鏡の検査による病理組織のタイプによって化学療法の効果、種類が異なります。最近では従来の抗がん剤に加えて、がんの免疫や遺伝子変異をターゲットとした分子標的薬など新しい治療薬が登場し、条件に合う患者さんにとっては治療の選択肢が増えつつあります。

 おなかがふくれてきて、悩んでいる人には一度婦人科を受診することをお勧めします。婦人科検診の際にはぜひ一緒に卵巣検診も受けてみて下さい。

<アピタル:弘前大企画・男性も必読! 産婦人科医が語る女性の一生>

http://www.asahi.com/apital/healthguide/hirosaki/

(弘前大学大学院医学研究科産科婦人科学講座助教 三浦理絵)