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(17日、高校野球 仙台育英4―3敦賀気比)

 2年連続出場の敦賀気比(福井)は17日、仙台育英(宮城)に中盤で逆転を許し、5年ぶりのベスト8入りはならなかった。

 1点を追う八回表、敦賀気比の主将、上間洸太(こうた)君(3年)に出番が来た。代打で左打席へ。「流れを変えたい」。三塁ゴロに倒れて流れを引き寄せられなかったが、最後までベンチで仲間を鼓舞し続けた。

 控えの一塁手で背番号は13。選抜大会の優勝経験がある敦賀気比で、主将がベンチにいるのは珍しい。

 昨夏の福井大会決勝の翌日、控え投手だった上間君は甲子園のメンバーから外れた。それを機に投手では通用しないと野手に転向した。東哲平監督は「しっかりしていて、頑張れる」と評価し、新チームで主将に指名した。

 昨夏はエースだった左翼手の木下元秀君(3年)は当時、「正直、『なんでやろ』と思っていた」。通常なら下級生の頃からレギュラーだった選手が主将に選ばれていたからだ。

 上間君は主将として、前のチームから試合に出ていたメンバーには特に厳しく接した。しかし……。

 「静かにしろよ」。上間君が頼んでも聞いてもらえない。1学年上のチームは個々の能力が重視されていた。一方、上間君は総合力で戦わないと勝てないと考えていた。でも、その思いは浸透しない。まとまりを欠いたままチームは昨秋、県大会の準々決勝で敗れた。

 行動で示すしかないと、シーズンオフに上間君は打撃練習に専念した。誰よりも早くグラウンドに入り、全体練習が終わってみんなが帰った後もバットを振り続けた。けがで野手に転じた木下君は、上間君の姿を見て思った。「一番の努力家。頼りになる」

 上間君は今春の県大会で1番打者だったが不振に陥って以降は控えに。もう野球をやめたいと思っていた。そんな時、仲間たちが声をかけてくれた。「このチームはお前のチームだ」「最後までついていく」。信頼を得たと感じられた。

 ベンチに陣取る主将の戦いは終わった。「声をかけ続けてくれて、野球以外の部分でもしっかりまとめてくれた」と東監督。上間君は「キャプテンはつらかったけど肩の荷が下りた。みんなには感謝しかない」と充実した表情で話した。(平野尚紀)