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(17日、高校野球 星稜4―1智弁和歌山)

 5度目の挑戦も「苦しくて、うまくいかないことばかりでした。みんなに助けられて、ここまで来ることができました」。智弁和歌山の主将、黒川史陽(ふみや、3年)は試合後、泥と涙にまみれた顔を何度もぬぐいながら、高校最後の夏を振り返った。

 1年生の夏から甲子園の土を踏み、5季連続となった今夏は主将という立場だけではなく、注目の1番打者としてチームの先頭に立った。「一番いい打者に一番多く打席が回るように」と中谷仁監督。でも監督の狙いはもう一つあった。仲間から絶大な信頼を集める主将の一打は、そのままチームの勢いになるからだ。

 だが、苦しんだ。1、2回戦は7打数1安打。この日も奥川恭伸投手(3年)を前に6打数無安打。タイブレークになった延長十四回無死一、二塁で迎えた最後の打席はバント。だが、「流れをもってこようと焦った」と投前に強く転がり、好機を広げられず。打線も計1得点に終わった。

 「(奥川は)高校3年間で一番すごいと思った。自分たちを上回る『絶対に負けない気持ち』を感じて、手がつけられなかった。ビデオでも見ていたが、それ以上にすごかった」

 試合後もバットを振り込み、寝るときもバットを離さないほどに「全国制覇」を夢見続けたこの1年間。

 強い責任感から、厳しい言葉で仲間に接したこともある。エース池田陽佑(3年)については「一番けんかして、一番ぼくが怒ったやつ」といい、「最後に助けてくれたのに、助けられなくて申し訳ない。自分のせいで勝てず、先輩たちの偉大さがわかった」と、反省の言葉ばかりが出た。

 甲子園はどういう場所だったのかと問われると、少し間を置いて答えた。「自分が今までうまくいってきたことが全部チャラになって、もう一度見つめ直させてくれるところです」