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(18日、高校野球 明石商7―6八戸学院光星)

 試合前の夜、八戸学院光星の大野僚磨内野手(3年)は必ず自室でグラブを磨く。オイルをつけ、約10分間、捕球する面の中心から円を描くように広げていく。昨秋、守備練習で打球を何度もはじいてしまった。「道具から野球に対する姿勢を考え直そうと」。ボールを落とさないように、と念じながらピカピカにする。新チームから副主将になり、視野の広さと一塁コーチとしての力を認められて背番号をもらえた。

 だが1年近く、公式戦で守備についたことはない。

 数少ない地元青森の出身。中学では生徒会長だった。高校から寮に入り、この2年半、朝6時半と夜9時の点呼の時間は厳守する。掃除も手を抜くのが嫌で、2年のときには同学年36人で唯一、寮の舎監室の掃除担当を任された。

 いつ守備についてもいいように――。甲子園に来てからも毎晩、宿舎でのグラブの手入れを怠らなかった。

 1~3回戦は出場がなかった。そして準々決勝。1点を追う九回、仲井監督から「同点になれば守備で出す」と言われ、無死一塁で代走に送られた。だが本塁にかえることはなかった。

 涙が出た。悔しさ半分、うれしさ半分だった。守備にはつけなかったけど、甲子園で試合に出られた。信じて続けてきたことが少しだけ報われた。そんな気がした。(室田賢)