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 準々決勝の仙台育英戦で4本塁打を含む22安打17得点と、かねて課題だった攻撃力の「目覚め」を感じさせた星稜。加えて、甲子園で光っているのが堅実な守備だ。ここまでの4試合で2失策。力投を続ける投手陣を、がっちり支えている。

 「堅守星稜」の象徴の一人が、二塁手の山本伊織君(3年)。鍛え上げたフィールディングで、幾度となくチームを救ってきた。

 見せ場は2回戦の立命館宇治戦でもあった。

 3点リードの八回、守備を固めたいチームは山本君を起用。九回裏、先頭打者が四球で出塁。1死を奪うも立命館宇治が最後の粘りを見せていた。「カキン!」。鋭い音を残し、ライナー性のゴロが一、二塁間へ。抜ければ右前適時打という球を山本君はぎりぎりで捕球。体を鮮やかに回転させて二塁に送球し、フォースアウトにした。

 「絶対アウトにできる自信があった」

 チームメートも絶賛するその守備の裏には、独自の理論と徹底的な基礎練習がある。本人は理路整然と、そして淡々と説明する。「セカンドにくるゴロは大体4種類くらい。地面をはってくるもの、ショートバウンド、ハーフバウンド、上から落ちる高いバウンド。あとはグラブの順手、逆手なので計8通り。これを徹底的に鍛えるんです」

 小学校の頃から1日30分、住んでいたマンションの壁にボールをぶつけてゴロを捕る練習をしていた。「うるさい」と住民に怒られることもあったが、毎日続けていたら、いつしか怒られなくなった。本人はそれでも、「まだ上のレベルではやれない」と納得しなかった。中学3年になる頃には、練習時間は2時間になっていたという。

 地道な基礎の積み重ねで得た技術は、星稜でも評価され、2年からメンバーに選ばれている。

 次は準決勝。「自分がピッチャーのためにできることは、飛んできた打球を当たり前にさばくこと。セカンドに飛んだら確実にアウトが一つ増える、と安心して投球に集中して欲しい」。大舞台を前にしても、あくまで冷静で頼もしい「守備職人」だ。(岡純太郎)