一獲千金狙い、掘るのは民家の床下 記者が見た盗掘現場
ギザ=北川学
古代文明の発祥地エジプトで、遺物の盗掘が後を絶たない。一獲千金を狙い、民家の床下を掘る者がいる。(ギザ=北川学)
ラバの引く荷車が砂煙を巻き上げる。カイロ近郊ギザ。3大ピラミッドから10キロほど離れたナイル川沿いの農村に赤れんが造りの3階建て民家がある。
家主(35)が玄関の鉄扉を開け、記者を素早く迎え入れた。「今は誰もいない。見てもいい」
家主は1階の部屋の白木のドアを押した。8畳ほど。窓はコンクリートで塞がれ、電灯があっても薄暗い。床に1メートル四方の穴が開き、はしごが掛けてある。深さ8メートル。脇に泥だらけのバケツが二つ。掘り起こされた土砂が、続き部屋の天井近くまで山になっていた。
コーランに手を置き…
作業は1月に始まった。見知らぬ男が訪れ、「床下を掘らせてほしい。貴重なものが見つかれば高く売れる。分け前も与える」と話したのがきっかけだ。
22年前に同じことがあり…