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 3年ぶりの全国制覇を目指した作新学院。準々決勝で惜しくも中京学院大中京(岐阜)に逆転で敗れたが、どんなときでも積極性を失わないプレーで、甲子園を何度も沸かせた。彼らの戦いぶりを振り返る。

 昨年夏の甲子園では、春夏連覇を果たした大阪桐蔭に初戦敗退を喫した。

 「選手らの実力は近年でも高い」と評された現3年生を中心に、新チームが始動した。しかし秋の関東大会は1回戦で敗退し、春になっても打力不足は深刻だった。

 だが、石井巧主将(3年)を中心にチームは再結束し、圧倒的打力で夏の栃木大会9連覇を達成した。

 甲子園の初戦(2回戦)では、選抜大会8強の筑陽学園(福岡)と対戦。先制したものの土壇場の九回裏についに追いつかれ、一時はサヨナラ負けのピンチを招いた。

 延長十回表。石井主将が「この回一気に行くぞ」とベンチを鼓舞。2点の勝ち越しに成功し、5―3で勝利した。甲子園のムードが筑陽学園に傾く中、攻めの姿勢で流れを半ば強引に断ち切った白星だった。

 18―0で圧勝した岡山学芸館(岡山)との3回戦。ボール球には手を出さず、好球必打。出塁すれば、果敢な走塁を仕掛ける。小針崇宏監督のもと選手らに染みついた「作新野球」の真骨頂だった。

 今年のチームには、本塁打を量産するスラッガーも、150キロ超の豪速球を投げ込む絶対的エースもいない。それでもここまでの「横綱相撲」を繰り広げた。チームの団結力の強さと、完成度の高さを見た。

 中京学院大中京との準々決勝。初回に石井主将の3点本塁打で鮮やかな先制劇を見せた。だが、前の試合でも好投したエース林勇成投手(3年)が、連戦の疲れを見せて途中降板。その後、八回裏に満塁本塁打で逆転され、3―6で敗れた。栃木大会から危惧されていた控え投手陣の経験不足が、土壇場で響く結果となった。

 しかし、バントを決して用いない攻撃的な姿勢と、果敢な走塁や守備で随所に見せた積極的なプレーは、今回の出場校の中でもひときわ強烈な印象を残した。「どんなときでも自分たちは挑戦者」。石井主将はいつも取材にそう答えていた。常にストイックに上を目指す彼らの姿は、栃木に、そして甲子園に深い感銘を与えたと思う。(平賀拓史)